【イクボスのススメ】第8回:ボスに必要な3つの覚悟、大ボスに必要な1つの覚悟

新しい働き方ブログ
2017年07月26日


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前々回から『イクボスのマネジメント心得』と題し、3回に分けてお話していますが、①オーダーメイドなマネジメント、②チームワークの向上、③ボス自身の覚悟のうち、今回は最後③の「ボス自身の覚悟」についてフォーカスしてお話しします。


同じ会社でも、部署によって居心地は全然違うという意味

「あの会社は働きがいのある会社だよ」とか、「風通しのいい社風だ」とか言われている会社でも、もちろん、そうじゃない部署があったりします。同じ会社であれば、当然同じ人事制度なわけですが、部署によって居心地は全然違います。つまり、人事制度では居心地は決まらないということです。人事の世界では運用8割っていう言葉があり、制度を変えたからと言って会社がすぐに変わるわけではなく、ちゃんと運用して、浸透して、そこで初めて会社が変わっていきます。いい制度があるというのも素晴らしことではあるのですが、運用されていないとなれば、それは宝の持ち腐れであり、「制度はあるけど使えない」というのは、むしろストレスが溜まる状態かもしれません。


では、うまくいっている部署とそうでない部署の違いはなんだろうということですが、それはこの連載の第1回でも「組織の居心地は半径5メートルで決まる」というお話をさせて頂きましたが、私はまさに上司による違いだと思っています。上司のメンバーに対するスタンスや組織運営の考え方が、部署の居心地であり、パフォーマンスを作っていくと思っています。 


ボスに必要な3つの覚悟

では、どうすれば「組織の半径5メートル」を作っていけるのでしょうか。スタート地点はやはり、ボス自身の覚悟だと思っていて、特に「やらないことを決める覚悟」、「部下に任せる覚悟」、「自ら意思決定をして責任をとる覚悟」の3つの覚悟が必要です。この3つの覚悟があれば、その組織、つまりその上司から半径5メートルは確実にいい組織に変わっていきます。


最初は「やらないことを決める覚悟」です。昔の私のように、成果が出ないときに、矢継ぎ早に打ち手を重ねていくのはダメボスの典型例で、ドンドン生産性が悪化します。上司の仕事はやることを細かく提示することではなく、やらないことを決めること、つまり無駄なことを大胆にカットすることです。無駄な会議、資料作成、過剰サービスなどをカットすることで、時間を創出して、それを価値ある仕事に振り分けることや、自身の上司である大ボスに対しても、NOと言える力が必要です。上にNOと言えないと、メンバーの生産性は上げられないので。そのためには、「今までのやり方で本当にいいのか、最高なのか」ということを疑ってかかり、常に「止める」「減らす」ということを意識することが大事です。


次の覚悟は「部下に任せる覚悟」です。最近はプレイングマネージャーも多いですが、部署の目標、業績を達成するために、自分がフル稼働でメンバー分まで成果を出すというプレイヤーの延長線上のやり方では、最初は良くても、目標が上がったりすると全く通用しなくなってしまいます。だからこそ、自分が出来ることはメンバーでも再現できる状態にして、仕事を任せていきます。そこで時間を作り、自分は出来ないこと、やったことないことにチャレンジしていくことが、自身のキャリアにとっても、組織にとってもいい状態に向かうのではと思っています。
また、やはり「信じて任せる」ことでメンバーは必ず成長します。出来ることしか任せないのではなく、一回り大きな仕事を任せ続けることで、気づけばそのサイズの仕事が出来るようになります。最初は大丈夫か不安なこともあるかもしれませんが、覚悟を持って任せることで、自身の時間も創出でき、メンバーも育成でき、結果として強い組織になっていきます。


最後の覚悟は「自ら意思決定をして責任をとる覚悟」です。これも言葉にすると当たり前のように聞こえるのですが、上司にこの覚悟があるか無いかで、生産性は天と地ほど変わってくるでしょう。私はマネジメントの仕事は「決めること」だと思っているので、決めないということ自体、職務放棄なわけですが、印鑑リレーに代表されるように、誰も決めず、誰も責任取らずみたいなことをやっていたら生産性が良くなるはずもないですし、強い組織になるはずもありません。


ここには減点主義的な考え方も色濃く出ていて、「何かあったら誰が責任取るんだ」という言葉のように、上の人に責任を取らせないために、100%ミスの無いように完璧に仕事をこなすという仕事のやり方では、変化の激しい時代には間違いなくついていけないでしょう。むしろ、「ミスは起こる、何か起こる」ということを前提に、メンバーに任せてスピーディーに仕事を進めて、何かあったら上司が謝る、責任を取る、そして修正していくという方が、しなやかで強い組織になっていきますし、メンバーも当事者意識をもって、仕事に臨み、結果もついてくることでしょう。


大ボスに必要な1つの覚悟

最後に、大ボス、つまりは社長に持ってもらいたい覚悟についてですが、結論から言うと、「短期で勝つではなく、中長期的に勝ち続ける」ということを目指す覚悟です。イクボスの講演等をさせて頂くと、必ず言われるのは「うちには無理です」というコメントなのですが、なんで無理かというと、多くの場合「短期視点」ですべてが回っているからです。イクボス宣言をしたからと言って、明日から組織が変わるわけではありませんし、すぐに結果(特に数値的指標)が出るわけではありません。短期で結果出そうとすると、小手先の手法に走り、一瞬良くなったように見えても、実は何も変わっていません。中長期的に勝ち続けるということをターゲットにした瞬間にやれることは無限に広がりますし、本質的な取り組みが出来るようになるわけです。


まとめ

今回はイクボスのマネジメント心得③として、「ボスの覚悟」について話しました。ボスの覚悟は、生産性、人材育成に直結する要素ですし、組織パフォーマンスを左右します。言い換えると、生産性が上がらないのも、メンバーが育たないのも、ボスの覚悟が無いからとも言えます。そして覚悟を持って、「短期ではなく、中長期的視点」で本質的なことを、腹括ってやることができれば、必ず、強くてしなやかな人・組織になると思っています。


記事制作:
株式会社ミライフ 代表取締役社長 佐藤 雄佑


佐藤 雄佑
新卒でベルシステム24入社。マーケティングの仕事に従事。そこで「やっぱり最後は人」だと思いリクルートへ。リクルートでは営業、支社長、人事GM、エグゼクティブコンサルタントなどを歴任。MVP、MVG(グループ表彰)などの表彰多数受賞。リクルートホールディングス体制構築時(2012)には人事GMとして、リクルートグループ(現リクルートキャリア)の分社・統合のプロジェクトを推進。子供が生まれた時には、半年間の男性育休を取得し、主夫を経験。2016年、株式会社ミライフ設立。

ビジネスノマドジャーナル編集部
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