【フリーランスと働き方改革】第18回:懐かしい友人と、イタズラを企むように仕事する

新しい働き方ブログ
2017年07月18日

「フリーランス・ライターをしています」という話をすると、どんな風に営業してるの? とよく聞かれる。人によっては、いろいろな企業(出版社やサイト運営会社など)に実績を送ったり、クラウドソーシングで仕事をもらったりという姿を想像するようだ。


僕は今のところ、営業活動というものを特に熱心に行っているわけではない。そう書くと何だかおこがましく見えてしまうかもしれないけれど、単純に戦略的ではないだけだと思っている。1人でやっているフリーランスが仕事を継続的に増やすには生産効率を高めていくしかない。そのためのPDCAが、僕にはまだまだ足りない。


それでも何とかやっていけているのは、ひとえに「人とのつながり」のおかげでしかないと思う。


下手くそなベースをごまかしてくれた友人

Kという高校時代からの友人がいる。と言っても、高校3年のときに同じクラスになったというだけで、それほど親しくしていたわけではない。僕が17歳を過ごした1999年の地方都市にあって、どこで学んだのか、KはやたらとPCに詳しかった。


当時僕はバンドを組んでいた。洋邦を問わずメロコア・パンクがブームとなり、ライブハウスにいけば皆同じような曲をコピーしていた時代。そんな中で僕のバンドはオリジナル曲を作り、頭一つ飛び抜けた存在となるためにデモテープも作った。当時の録音メディアといえばカセットテープだった。

どんなきっかけだったのか覚えていないのだけれど、ある日教室でKにそのテープの話をした。「自分が弾いているベースが下手くそで、中音域が全然聞こえないのだ」と言い訳をしながら聴いてもらった。するとKは「簡単なマスタリングなら家でできるから、CDに焼き直してあげるよ」と言ったのだった。何をどう手直ししたのか、僕にはよく分からないまま、翌日にはベースの下手さ加減が分かりづらくなったCDができあがっていた。


仕事の早さとクオリティに感動した僕は、追加で20枚のCDを作ってもらった。それを1枚100円で友だちに売り、売上をKにバックしたのだった。


高校時代の友人がビジネスパートナーに

Kは今、ウェブ制作やマーケティングを主業務とする会社を都内で経営している。久しぶりに再会したのは僕がフリーランスになってからで、高校を卒業して実に15年が経っていた。


ウェブコンテンツまわりの話になれば、今どきのマーケターとライターは共通の話題が多い。炎上した記事やPRコンテンツのネタで盛り上がりながら、気づけば話は「一緒に何かできないだろうか」という方向に進んでいった。互いに事業主なので、そのあたりの判断は早い。Kはテキストを充実させたい案件を抱えていて、僕は書く場所を探していた。そんなわけで、高校時代のクラスメートは数時間飲み交わした後、ビジネスパートナーになった。


ついでにKは、僕の仕事上のポートフォリオを分かりやすくまとめたほうがいいんじゃないか、というアドバイスをくれた。フリーランスでもちゃんと自分のサイトを作って、ポートフォリオを人に見てもらえるようにするべきだと。そして翌日にはサイトの構成案を送ってくれた。相変わらず仕事が早くて、クオリティが高かった。


元気に生存アピールをし続けることが、いちばんの営業活動だった

Kだけではなく、大学時代(1年しか通っていないけれど)の友人や、社会人1年目にお世話になった先輩など、思いもよらぬつながりから仕事が始まるというケースを僕はこれまでに何度も経験してきた。そしてそのたびに、もともとの関係性が大きくアップデートされ、より濃密なつながりになっていった。


昔からの友人や知人と、イタズラを企むような気持ちで仕事ができるというのも刺激的な体験だった。会社の体裁や外聞を気にすることなく、協働したいと思ったときに自由に動けるのは、まさにフリーランスの特権なのだろう。


直接組むことはなくても、自分自身の仕事内容を知ってもらうことで人に紹介してもらい、新たな案件に関わるきっかけをもらえることは多い。自分にとって興味がある範囲だけではないから、世界が広がる。世の中にはさまざまな理由で、さまざまな文章が必要とされているのだということを学んだ。


「フリーランスは人脈が大切だ」と語る人は多い。僕はこの「人脈」という言葉を、これまでの人生で培ってきたすべての人間関係であると解釈している。細い縁だと思っていても、ふとしたきっかけで太く結び直されることもあるのだ。僕にとっては、SNSやメールで元気に生存アピールをし続けたことが、結果的にいちばんの営業活動になっていたのかもしれない。


これからフリーランスになろうとしている人は、営業活動の第一歩として、懐かしい友人や知人を思い出してみては?


記事制作/多田 慎介


【ライター】多田 慎介
フリーランス・ライター。1983年、石川県金沢市生まれ。大学中退後に求人広告代理店へアルバイトとして入社し、転職サイトなどを扱う法人営業職や営業マネジャー職に従事。編集プロダクション勤務を経て、2015年よりフリーランスとして活動。個人の働き方やキャリア形成、企業の採用コンテンツ、マーケティング手法などをテーマに取材・執筆を重ねている。

ビジネスノマドジャーナル編集部
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