【副業・複業時代を生き抜く】第5回:営業はフリーランスで活躍できるのか? 営業職の可能性について考える

キャリア
2017年06月19日

ノマドワーカー、フリーランスと呼ばれる働き方を選択する人が増えてきた昨今。2016年には、日本における広義のフリーランス人材は1064万人に達しました。(ランサーズ株式会社フリーランス実態調査」より)
かつてフリーランスは、カメラマンやライター、アナウンサーなどの一部の職種に限られていた働き方でした。現在では、文系総合職にも広まりつつあります。
フリーランスという働き方に興味はあるものの、「現在の仕事や職種と、どう接続できるのかがわからない」という方は多いのではないでしょうか。


本シリーズでは、モデルケースを取り上げ、フリーランスとして活躍するために必要なスキルや経験の身に付け方について、キャリアコンサルタントの立場からお話したいと思います。


【モデル:Aさん】

社会人5年目、男性27歳。入社当初より、食品メーカーでルート営業をやっている。お得意様にかわいがってもらい、自分の頑張りが数字でわかりやすく表れる営業職は、向いていると感じている。営業目標は外したことがない。楽しく、やりがいもある一方、年齢やこの先のキャリアを考えると、不安も感じている。将来的には独立することも選択肢に入っているが、事業内容などは決まっていない。


「何のプロフェッショナルになるか」を決めよう


フリーランスで働く人は皆、何かしらの得意分野を持っています。一番得意なこと、他の人とくらべて秀でていることを武器としなければ、"個人"で仕事をするのは不可能です。組織力と人脈がある"会社"に負けてしまうからです。


得意ということのほかに、もうひとつポイントがあります。
仕事と一口に言ってもいろいろな業務がある中で、自分が最もワクワクし、力を発揮できている瞬間は、何をしている時でしょうか。また、周囲からよく言われる褒め言葉は何でしょうか。
あなたが何のプロに向いているかのヒントは、その中に隠れている可能性が高いですよ。


それではここで、Aさんの場合には、どんなことが「得意」「秀でている」のか、見ていきましょう。
ルートセールス5年目ということは、営業経験としては中堅〜ベテランのレベルにあると考えられます。そうなると、
・フットワークの軽さ
・顧客の要望に応えるスピード
・顧客に信頼される親しみやすさ、マメさ
・売上を伸ばすための交渉力
・商品知識
・業界知識と競合情報
あたりは、スキル・知識・経験ともにあると仮定できます。



次に、この先フリーランスにおける営業のプロとして活躍するために、今後身に付けるべきスキルや、積んでおくべき経験が何か、見て行きたいと思います。


"営業にまつわることなら何でも屋"を目指せ


フリーランスで活躍する営業職の強みは、当然ながら営業力。完全歩合制での契約も多く、売れば売っただけ収入に直結する、シンプルな構造です。会社や商材に縛られないため、何でも売ることができます。逆に言えば、「何でも売れる人」でなければ難しい、ということです。


とはいえ、マンションを売るのとお菓子を売るのとでは、求められる知識もスキルも異なります。不動産や金融など、取り扱う商材によっては、資格を要する場合もあるでしょう。また、誰の課題を解決して喜ばれる営業でありたいのか、によっても異なります。個人の悩みを解決したいのか、組織の悩みを解決したいのか。組織の中でも、どの仕事をしている人に喜ばれたいのか。やはり、「この商材を売らせたら私はNo.1だ」と思えるものを持っておく必要があります。


もし、現在扱っている商材にあまり思い入れが持てないのなら、思い切って商材を変えることも検討しましょう。業界や商材が異なっても、同じ営業職であれば、たいていの場合は応用することが可能です。


今度は、フリーランスと契約する会社側の立場に立ってみましょう。ただ売るだけなら、自社の営業で十分です。わざわざ外注するには、自社内では解決しきれないことを解決してもらえるからですね。
人件費の観点で正社員の人数を増やしたくない、販路拡大のために代理店やフリーランス人材がすでに活躍している、現組織でハイパフォーマーが育たない、組織にテコ入れをしたい、新商品プロモーションに力を入れたいといった理由で、営業を外注するケースはあります。 そんな時、自分のどんな強みを武器として戦えるでしょうか。営業のプロとして圧倒的成果を残せるのか、営業組織を強化したい会社でコンサル・教育担当のような立場を担えるのか、効果的な売り上げ計画を立てるための戦略を練ることができるのか、によっても、活躍の仕方は変わってきます。フリーランスで営業を掲げるからには、すべてできるくらいの実力は備えておきたいものです。


そのためには、

・圧倒的成果を残した経験
・後輩や部下の育成、マネジメント経験
・個人での目標達成のみならず、組織として数字を上げるためにどう貢献できるかのノウハウ
・商品拡販のためのキャンペーンを主導するリーダー

あたりは、ぜひとも経験しておくと良いでしょう。


自らが汗を流して苦労して掴み取ったものでなければ、人の役に立って分け与えることなどできません。業績を上げるために必死でやり抜き、成果に繋げた経験は、どんな場面であっても助けてくれるはずです。
また、育成やマネジメントを経験し、個人だけでなく組織で売り上げを立てた経験があれば、営業職育成プランの策定やマネジメント強化、営業戦略立案などの観点から活躍することもできます。


そのほかにも商品拡販プロジェクトを経験していれば、商品の企画、開発、物流、プロモーションなど、様々な部署の人と協業することになります。商品が作られて消費者に届くまでの一連を経験しておけば、単に"売る"だけでなく、商品に込められた思いやストーリーまで踏まえた売り方ができるようになります。
もちろん、通常の営業活動の中でも、こうした売り方や取り組みをしている人も多いと思います。ポイントは、「売り上げを主導する立場として、周りをどう動かせばいいか」を考えて動いた経験があるかどうか、です。調整力、説明力、戦略立案力、率先垂範して背中で見せる力などが身に付くことでしょう。


加えて、会社にいるうちに、

・BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)
・新商品開発プロジェクト

などに携わる経験が積めれば、なお良いと思います。


BPRでは、既存のビジネスモデルや組織の在り方を見直し、改善することに取り組みます。そのためには、何が問題で、その原因は何で、どうすれば解決できるのか、と考え抜く必要があります。関係各位の聞き取り調査、売上や原価率などの数字の分析、ありたい姿と比較しての課題注出力、推進力、実行力などが鍛えられることでしょう。


新商品開発プロジェクトでは、ターゲットの策定、新しい販路の開拓、売り方の開発などが必要となります。実績が出れば、汎用的なノウハウとして落とし込むことができます。失敗した場合でも、原因追求と対策について学ぶことができます。いずれのケースでも、同じく拡販に努めているメンバーに展開・共有することになるでしょう。成功事例・失敗事例の共有に課題を感じている営業組織は多いもの。こうしたスキルも持っておけば、フリーランスとしての活躍の場は、ぐんと広がるはずです。


いかがでしたでしょうか。
営業と一口に言っても、切り口は様々あります。自分の中の複数ある強みをどう掛け合わせるかで、その人のオリジナリティが決まります。フリーランスとして活躍するためにも、会社員として上を目指していくためにも、オリジナリティの発揮は必要不可欠です。この記事が、ご自身の強みを今一度洗い直す機会となれば幸いです。


取材・記事作成/天田 有美


専門家:天田有美
慶應義塾大学文学部人間科学科卒業後、株式会社リクルート(現リクルートキャリア)へ入社。
一貫してHR事業に携わる。2012年、フリーランスへ転身。
キャリアコンサルタントとしてカウンセリングを行うほか、研修講師・面接官などを務める。
ライター、チアダンスインストラクターとしても活動中。



ビジネスノマドジャーナル編集部
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