【キャリアを「編集」し、自分らしいキャリアをつくる】第3回:ボランティアから趣味まで、すべての経験が活きる&輝く「Re歴書」のつくり方

キャリア
2017年06月19日




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●複業時代、パラレルキャリア時代の履歴書フォーマット

企業の「副業解禁」の波が加速し、自分のスキルを社会に還元するプロボノ(社会人が専門知識や技能を生かして参加する社会貢献活動)のような活動が各地で見られ、パラレルキャリアといったスタイルが注目されるようになってきた昨今。では実際に、副業やプロボノを行い、パラレルなキャリアを歩んでいる方が転職活動を行う時は、どのようにしてこれらの活動を表現したらいいのでしょうか?


転職活動においては、一般的に履歴書、職務経歴書を作成して提出します。
紙に手書きするタイプ。Wordなどのソフトで作成するタイプ。転職サイトや転職エージェントシステムのフォーマットに入力するタイプ。アナログ、デジタルそれぞれに方法がありますが、これらに共通して言えるのは、どのタイプも、複業時代、パラレルキャリア時代に適したフォーマットにはなっていないという事です。


紙の履歴書や就業履歴の入力フォームを思い出してみて下さい。
これまでの履歴書は大きく2つに分かれていました。学歴、職歴をいつ入り出たかという欄と、資格や趣味、特技などを書く欄ですね。


キャリアを重ねると別途職務経歴書を用意する訳ですが、プロボノのように自分のスキルを活かすプロジェクトに若いうちから関わっていた場合、そして、その期間が長くなっていれば、それは立派な仕事体験だと言えるのではないでしょうか。
しかもその活動は、プロボノであれば本業の仕事がある傍ら行うものですから、これまでの履歴書フォーマットにある「学歴、職歴欄」ではラインが一本足りなくなってしまうのです。


結論から申し上げますと、複業時代、パラレルキャリア時代の履歴書は、タイムラインを一本追加せよ、ということです。
そのラインにどんな情報を、どこまで、どう書けばいいの?という疑問にこれからお答えして参ります。


●追加したタイムラインに何を書くか?

いささか特殊ではありますが、わかりやすくするために私を例に取って解説します。
私は中学校を卒業後、三国志に登場してくるような人物になりたいと願い、単身中華人民共和国に留学しました。中国の大学に入り、卒業をしましたが、就職活動という言葉を知らず、中国で仕事に就くことも考えなかったため、日本に帰国し、上京し、アルバイトを始めた、というのが私の人生における仕事の第一歩でした。




その後、就職した日本語学校で、在籍している中国や韓国の学生に、もっと日本人と交流する機会を設けたいという考えから、当時「総合的な学習の時間」で人気のあった「異文化理解」のテーマ用に、外国人学生と交流できる授業プログラムを企画し、東京の各自治体の教育委員会に売り込みに行きました。


この時、東京都杉並区の教育委員会の方から、総合的な学習の時間の授業プログラムを先生に代わって企画・調整していた「学校教育コーディネーター」を紹介いただき、企画案を学校教育コーディネーターの方に持ち込んだのです。
私はこの仕事を非常に面白く、有意義に感じ、日本語学校を退職したのを機に、「学校教育コーディネーター」に応募し、採用されました。しかし、この仕事は年間36万円の活動費しか出ない、ほぼボランティア仕事だったので、生活費を稼ぐためのアルバイトや正社員の仕事を探しました。


・・・と、ここまで読んでみて、いかがでしょうか?
年間36万円しかもらえないボランティアの仕事は、これまでの履歴書フォーマットの「職歴」に書き込めるでしょうか?


私はこの仕事を六年間続けてきましたが、非常に充実した仕事をしたと自負しています。

例えば、小学校六年生が「情報」を学ぶうえで、教科書では新聞を題材にしているのですが、新聞を取っていない家庭も多くあります。そこで考えたのが、CMを題材に情報を学ぶ授業を企画です。色々なCMプロダクションと交渉し、ポカリスエットを世界で初めて宇宙で撮影したプロデューサーの方にお話を頂いたり、その他のプロダクションの方からも自分たちが普段接している情報が、どのような意図で、工夫で出来上がっているかといった授業を行って頂いたりしてきました。
学校の先生のニーズと目的を受け、それに適う授業を企画し、協力企業に提案・交渉をしたことは、現在の私を形成する上で非常に大きな経験となっています。


また、この学校教育コーディネーターの仕事は、スタッフサービスでのアルバイトと、その後に就職したリクルート系の代理店での正社員と、その後に三人のメンバーと起業した時期という、三つの職場(年数)にまたがって行っていました。
・・・となると、これまでの一本しかない職歴のタイムラインでは、学校教育コーディネーターの仕事をうまく書けなくなってしまうのです。


実際に履歴書を私が作成したのは、ベンチャー起業に失敗して求職活動を始める時でしたが、学校教育コーディネーターの仕事が私のキャリア形成には大きな意味を持っていましたので、これをうまく表現できないことがとても勿体ないと感じました。
そこで閃いたのが、タイムラインを一本追加するというアイデアだったのです。


いわゆる正社員やアルバイトなど、そこそこの報酬をいただき、そこそこの時間を使って行う仕事を一本のタイムラインにまとめ、個人で活動したモノゴトをもう一本のタイムラインに書き込む。
実にシンプルなことでありますが、ラインを一本加えただけで、自分が経験してきたモノゴトがいかに自分のキャリアにとって大きな意味を持っているか、大事な構成要素であるということを、うまく表現できました。


●あなたがもう一本のタイムラインに書くべき内容

学校教育コーディネーターの仕事以外にも、防災マップアプリの企画開発、自治体メディアのコンテンツ制作など、正社員の仕事をしているのと同じ時期に行っていた活動がいくつかありました。
ボランティアに近いものやプライベートでのこうした活動は、すべてもう一本のタイムラインに書き込みます。こうしてできあがったのが、こちらのRe歴書です。




独立してベンチャー企業を創業した時にも、並行して防災アプリを作ったり、サラリーマンに戻って以降も、同じく並行して離乳食を定期販売する地域活性事業を立ち上げたりしていましたので、こうした仕事をもう一本のタイムラインに書き込んでいきました。


このように、メインの正社員・アルバイト仕事とは別軸の、個人で行っている有償・無償、規模の大小を問わない仕事をもう一本のラインに書くことで、私自身は自分が働く上で大切にしていること(この場合は公共性が高いことなど)を採用担当者に伝えることができ、また物珍しい履歴書を自作しているということで、興味を持ってもらえていたように思います。


この提言を行う時によくある質問として、タイムラインを一本追加した履歴書のフォーマットはあるか?というものがありますが、そんなものはありません。ないので私がエクセルでつくってみただけで、フォーマットは各人が自由に作っていいのです。


デザイナーの多くは、自分の作品集や受賞実績などをまとめた「ポートフォリオ」を個人が自由に素材を使い、自由な形式でつくっています。
この複業時代、パラレルキャリア時代では、デザイナーではなくてもポートフォリオを持ち、自分がどのような経緯でキャリアや仕事観を形成しているのかを表現するべきではないでしょうか。


企業が公開している求人票や求人広告に記載されている内容に100%合致する人というのは、まずいません。企業が求める枠にカッチリはまる人がいない以上、そこにはまらない部分を採用担当者が想像し、判断できる材料を、ポートフォリオをしっかりと作ることで採用担当者に伝えるべきなのです。


ここまで話を聞いてみて、
「そうか、タイムラインを一本追加すればいいんだな。よしやってみよう!」と思う方もいらっしゃれば、
「個人の活動と言っても、どこまで書けばいいの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
後者の方に送るアドバイスとしては、「一円も稼いでいないけど」といった金額や、活動が有名でいないとか規模が小さいとかいったことに臆することはありません。
大事なのは、自分がその活動に主体的に、積極的に関わり、一生懸命考え、試行錯誤や工夫をしたりしているものであれば、それらは全て書く価値があるということです。


ここでポイントになるのは、活動の写真やその時の様子をテキストにしたエビデンスを残しておくことです。さらに言えば、活動の記録から一歩進んで、「どんな工夫をしたのか」や「活動から得られたモノゴトやナレッジ」がまとまっていれば言う事ありません。


あなたなりの工夫の過程。そこから出来上がった「◯◯のやり方」といった方法というのは、とても貴重なコンテンツです。
例えばあなたがホテルの朝食ブッフェの食べ比べが大好きで、それについてのブログを書いているとしましょう。これだけでも立派なコンテンツですが、そのブログのアクセスアップのために行った工夫や、記事を書いてレビューをつける時の評価基準をどのようにつくったかといったプロセスまでまとまっていれば、これはあなたにしかつくることのできない「マイコンテンツ」なのです。


そうしたマイコンテンツは、ブログやスライドシェアなどwebにアップしたり、プリントアウトして紙のポートフォリオにしたりしてもいいでしょう。プレゼンテーションのためのコンテンツとしてイベントや勉強会で話をしたり、ワークショップなど体験型コンテンツに仕立てるのもいいでしょう。決まった形はありませんので、自由にやればいいのです。


そんなことはとてもできない、と諦めるのは早計です。
次回はこの「マイコンテンツ」のつくり方をご紹介しますので、どうぞご期待下さい。


記事制作/前田 考歩


プロジェクトエディター(PE):前田 考歩
BtoB、BtoCを問わず、新規事業、サービスの企画立案から開始後の事務局運営が主要領域。
主な業務:PMの他、チームマネジメント、ナレッジマネジメント、アライアンス提案、営業、代理店開拓、イベント・ワークショップ、企画運営、リサーチ、ブログやホワイトペーパーの執筆、マニュアル作成など。
近年は「わかるの素、できるの型」をテーマに、様々な企業の自社商品の見込客発掘と育成を目的としたワークショップの企画設計を行う。
web動画、展示会、マーケティングオートメーション、メールマーケティングなどの分野で、宣伝会議、ドコモイノベーションビレッジ、中小企業基盤整備機構など数々の場で講座を開催中。

ビジネスノマドジャーナル編集部
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