【イクボスのススメ】第5回:提供価値を創る3つのS

新しい働き方ブログ
2017年06月14日


(前回の記事はこちら

前回は生産性向上アプローチの一つ、「同じ仕事を短い時間でやる」ために具体的に何をやればいいのかということで、4大時間泥棒(会議、メール、資料作成、階層)を退治せよというお話をさせて頂きました。今回はもう一つのアプローチである「同じ時間で大きい成果を出す」ということについてお話できればと思います。


「同じ時間で大きい成果を出す」ということ

前回の「同じ仕事を短い時間でやる」というのがコストダウンの考え方なのに対し、「同じ時間で大きい成果を出す」ということは提供価値を創るといった考え方です。コストダウンのアプローチは、見えている無駄を減らしていくのに対して、提供価値を創るというのは見えないもの、今ないものを作るというアプローチになります。つまり、答えがないものに向かっていかなければいけない。だからこそ、人によって大きく成果に差が出る領域になり、例えばAさんが1週間掛けてやることを、Bさんは1日でやり、Cさんは1時間でやる、しかもCさんが一番クオリティ高いなんてことが平気で起こるわけです。


時間という努力の証明が通用しないので、とても厳しい世界であり、残酷でもあります。そして、今後はこの「提供価値」を創れる人の価値が高まっていきます。なぜならば、コストダウンで出せる利益には限界があり、今掛かっているコスト以上は削減できませんが、提供価値の創造に上限はありませんので、いくらでも生産性を上げることができるわけです。


提供価値を創る3つのS

では、どうすれば提供価値を創れるのかということですが、私は昔から「シンプル」「スピード」「サプライズ」の3つのSが必要だと言い切ってきました。


少し解説させて頂くと、「シンプル」は当たり前のことを当たり前にやること。つまり、約束を守ることです。お客さんや社内の同僚、上司など相手との約束はもちろん、自分でやるって決めたことをちゃんとやるという自分との約束も含まれています。次の「スピード」は文字通りですが、当たり前のことを当たり前にやれるようになったら、スピードを上げていく。人と比べなくていいので、常に自己ベストを目指す。そうしてスピードを意識する仕事が出来てくると、相手からも「お、早いね!」っていう提供価値を感じてもらえるようになるはずです。


そして最後の「サプライズ」ですが、当たり前のことを当たり前にやり、スピードも意識できるようになったら、相手の期待値を1ミリでもいいから超える努力をする。そのためには期待値が分かっていないと超えることは出来ません。でも、超え方はなんでもいいです。技術でも、デザインでも、価格でも、共感でも、工夫でも、感動でも、配慮でも、笑いでも、なんでも。とにかく、期待値を1ミリで超えること。これが提供価値を創るってことです。


大事なのは順番

ちなみに、ここで一番大事なのは順番です。シンプル、スピード、サプライズという順番が大事であり、いきなりサプライズ狙いをしてもそんなに簡単には上手くいきませんし、軽く見られたり、信頼を失ってしまうこともあるかもしれません。いきなりサプライズから攻めるってことは、言い換えると約束守らないのに、期待してないことをやるってことなので最悪です。土台があってのサプライズであり、提供価値なわけです。そして、やっとのこと生まれたサプライズも、それは次には期待値に変わります。なので、期待値というものは常に上がり続ける。そしてそれに応えるために、自分たちの当たり前レベルも上げ続ける。このスパイラルを愚直に回し続けるというのが、「同じ時間で大きい成果を出す」ことに拘るということです。


提供価値を創る人を創る

では、どうすればこのような3Sが出来る人が育つのかということですが、私は「顧客起点で考える」、つまりマーケティング思考ということに尽きると思っています。よくセールスとマーケティングの違いってことで、解説するのですが、セールスは自社が作ったプロダクトやサービスがあって、それをどうやったら買ってもらえるかということを考えて行動するわけですが、マーケティングは相手が欲しいものを作る、届けるという発想です。思考のスタート地点が全く違います。


これが出来るようになるためには、メンバーに「信じて、任せる」ということが必要で、この「裁量」を与えるという事が、顧客起点で提供価値を創ることに繋がるわけです。逆に言うと、トップダウンで会社の指示通り動くことを求められるような裁量がない、ガチガチのオペレーションマネジメントでは提供価値を創ることは出来ません。昨今は、生産性を上げるために無駄を取るということや、やるべきことを選択して、KPI管理して徹底していくといった会社も増えてきていますが、こういう発想の多くは自社起点であり、相手の価値に応えるためではなく、自社の生産性を上げるために仕事を組み立てています。最初は一定の成果が出るかもしれませんが、このマネジメントではそれ以上、生産性を上げるのは難しいでしょう。


まとめ

今回は「同じ時間で大きい成果を出す」ということ、つまり提供価値を創るということについてお話させて頂きました。これは簡単なことではありません。3Sでお話したように、土台があってのサプライズです。当たり前のことを当たり前にやること、当たり前のレベルを上げることはとても地味なことではあるのですが、だからこそ磨き続けると模倣困難な価値になるのではないかと思っています。


記事制作:
株式会社ミライフ 代表取締役社長 佐藤 雄佑


佐藤 雄佑
新卒でベルシステム24入社。マーケティングの仕事に従事。そこで「やっぱり最後は人」だと思いリクルートへ。リクルートでは営業、支社長、人事GM、エグゼクティブコンサルタントなどを歴任。MVP、MVG(グループ表彰)などの表彰多数受賞。リクルートホールディングス体制構築時(2012)には人事GMとして、リクルートグループ(現リクルートキャリア)の分社・統合のプロジェクトを推進。子供が生まれた時には、半年間の男性育休を取得し、主夫を経験。2016年、株式会社ミライフ設立。

ビジネスノマドジャーナル編集部
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