【HR Techで変わる働き方】第16回:評価の業務とHR Tech

ナレッジ
2017年06月14日

前回までは、労務業務に活かせるHR Techのサービスについてご紹介してきました。今回は「評価」業務にフォーカスし、現状どのような課題があるのか、その課題をHR Techを導入することでどう解決できるのかについてお伝えします。


評価の業務とは

人財を活用するためには、採用・評価・異動・育成などのステップが必要です。中でも「評価」は、昇給・昇進と密接に関連しており、戦略的な人材活用・育成、さらに社員のモチベーションにも大きな影響を与えます。


人事評価や人材管理は、現代では「タレントマネジメント(talent management"、TM)」と呼ばれています。タレントマネジメントとは、タレント(talent)=社員の能力やスキル、資質や経験値などを正しく把握し、適正な人材配置や人材育成を通して、社員一人ひとりのモチベーションとパフォーマンスを上げるマネジメントを意味しています。こうした言葉が出てきた背景には、終身雇用制度の崩壊や転職市場の活性化により、人材=人財という意識が高まっていることが考えられます。


タレントマネジメントでは、まず社員情報を一元管理することが必要です。社員に関するさまざまな情報をすぐ取り出せるようにデータ化し、より戦略的に評価や人事異動、人材開発を行うことが重要です。また、正しい評価の前提として、スキルや能力、キャリアなどを正確に把握し、客観的にデータ化しておくことも必要になります。


また、「評価」には多様性も求められるようになってきています。中でも、「360°評価(多面評価)」と呼ばれる評価方法が注目されており、従来のように上司が部下を評価するだけでなく、同僚や部下など複数の関係者が、さまざまな角度から評価するのです。こうすることで、たとえば上司の好き嫌いのみに左右されることなく、人材の評価がより多面的に行えるようになるのです。


業務内容や働き方が多様化してきた現在では、これまでにない方法が必要になってきているといえるでしょう。


評価の問題点

評価では、具体的に次のような点が問題になっていると考えられます。


◎社員目線での評価が必要だが、方法がない

かつての評価は、売上にいかに貢献したか、利益目標にどれだけ役に立ったかなど、会社にとって都合のいい基準で行われるのが一般的でした。しかし、終身雇用が崩れている今、社内評価は社員のキャリア形成という観点からもなされるべきです。社員個人のキャリアにとって、その仕事や業績がどういう意味を持つのか、という視点が重要になります。


◎タレントマネジメント・システムがない

タレントマネジメントは日本ではまだ新しい概念で、マネジメントツールが一般の企業にはないのが通常です。


◎職種、部署ごとの評価が必要だが、手が回らない

社員の能力や功績を正確に把握し、評価するためには、職種や部署によって評価シートや評価項目を個別に作成する必要があります。しかし、全社一括のシート・項目で評価している企業は少なくありません。


◎公平性を担保できる仕組みがない

同じ実績なのに、評価する人によって評価が左右されるようでは、社員はやる気をなくしてしまいます。この点、従来のような上司→部下に対する評価では、公正・公平さに欠けると感じる社員が多くいます。


◎人材育成に役立てるという意識が弱い

評価は、昇給や昇進の判断材料にするだけでなく、人材育成のベースとしても役立てるべきものです。日本の企業では、これまでそういった意識があまり高くなかったように思われます。


◎目標管理と表裏一体だが、一括管理できるシステムがない

評価は目標との関係で測られます。しかし目標には、個人の目標、部課の目標、部署の目標、そして会社全体の目標と、いろいろなレベルでの目標があり、達成度を一括管理できるツールを社内で作るのは、大変な手間がかかります。


HR Techで導入でできること

◎社員のキャリアプランニングに役立つ

HR Techを導入して社員の能力やスキル、キャリアを一元管理し、人事部だけでなく社員みずから確認できるようにしておけば、将来的にどんな人財になっていきたいのか、キャリアパスに沿った配置転換をしたり、仕事を任せたりすることができるようになります。


◎タレントマネジメントにも対応できる

入社・退職や部署異動、出産・介護などで変わり続ける社員情報を管理することは、とても大変です。従来のように人事部で確認・入力作業を行うのではなくHR Techを活用することで、抜け・漏れ・ミスなく、かつリアルタイムの管理ができるようになります。


◎職種、部署ごとに評価方法を分けられる

HR Techを導入することで、職種、部署ごとのきめ細かな評価シートを作ることができ、丁寧な評価が可能になります。


◎客観的なデータに基づく公正・公平な人事を実現

勤怠や業務実績、売上といったデータを入力し、他社員と比較することで、評価の過程や根拠が明らかになります。より透明性の高い評価ができるため、社員も出された評価に納得しやすくなります。


◎人材育成を効率的に行うことができる

個人の能力を正確にデータ化し、正しい評価ができるようになると、どのタイミングで、どの社員にどんな研修やフォローが必要かまで明らかにすることができます。時間も予算も限られた中、望む社員に望む能力を身につけさせることが可能になります。


◎目標管理が容易になり、モチベーションアップにつながる

目標と評価がいつでも見える状態になっていることで、社員はモチベーションを維持しやすくなります。目標を細分化して管理できるツールなどを使えば、日々達成感を感じて仕事に励むことができるようになるでしょう。


まとめ

「評価」業務は、会社の宝である社員を大切な人財に育て上げるために、大変重要な意味を持つ業務です。次回は、この評価活動の業務を支えるHR Techにはどのようなものがあるのかについてお伝えします。


記事制作/神尾 マキ


ビジネスノマドジャーナル編集部
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