【フリーランスと働き方改革】第13回:「副業」「複業」の意味を突き詰めて考えると......

新しい働き方ブログ
2017年06月13日

ここ最近、個人の副業開始を支援するセミナーが盛況だという。ある人材業界の取引先が開催した副業セミナーでも、想定を上回る来場者があったそうだ。


副業を検討する人には、さまざまな背景があると思う。現在の勤め先から離れずにうまく収入アップを実現したい人もいるだろうし、定年退職後を見据えてビジネスを立ち上げるための準備をしたいと考えている人もいるだろう。商材によっては大きな初期投資を必要としない代理店加盟の道も増えており、営業力や人脈を持つ人にとってはチャンスが広がっている。


一方では、収入や起業といった目的とは別に、純粋にスキルアップを志向して副業に興味を持つ人もいる。僕の周りの、同年代のビジネスパーソンには、こうした動機の人が多いように感じる。


「副業でのスキルアップ」は実際に可能だ。僕はそれをフリーランスになって実感した。


ライターは単一業務ではなく、「複業」だと思う

フリーランスは「肩書きがあってないようなもの」であり、「どんな仕事をするかは自分次第」なので、僕のように大した展望を持つことなく動いていても(これはこれで問題なのだが)、必然的に「複業」(複数の領域にまたがる仕事を同時にこなしていく)の状態になる。


ライターを名乗っている僕の場合は、現在のところ以下のような仕事をしている。


(1) インタビュー記事やコラム記事の制作

企業が運営するオウンドメディアを主戦場に、媒体特性に合わせたインタビュー取材と記事執筆を行う。この記事もそうした仕事の一つ。


(2) 商用コンテンツの制作

企業サイトやECなどのコンテンツとして、商品の魅力を伝えるための記事を書く。生産者や販売者を取材することも多い。社内報を書くことも。


(3) 求人広告の制作

版元企業や広告代理店とともにクライアントを取材し、転職サイトや求人誌のフォーマットに則って広告を制作する(出身業界ということもあって仕事の幅は広く、コピーだけでなくグラフィック全体の草案を考えることもある)。


(4) 採用コンテンツの制作

企業が自前で作る採用コンテンツを書く。社員インタビューを記事化したり、仕事内容を深掘りしたり。最近では企業理念を書く仕事もあった。


(5) SNSの運用支援

大きなくくりとしては(2)に含まれるが、他とは少し毛色が違う仕事。企業が定期的にポストするSNSの記事を書くために取材する。


(6) 地域誌の制作

街の商店や開業医を取材してPR記事を作る。


主だったものを分類すると上記のようになる。共通しているのは「取材する」ことと「書く」ことだ。これらをライターとして取り組んでいる一つの業務(クライアントが異なるだけ)ととらえるか、複業ととらえるかで見方が変わってくる。僕は後者だと思いながら仕事をしている。


さまざまな現場に出入りし、異なる価値観を持つ人と接する

「取材する」「書く」という要素は共通しているのに、なぜ複業だと感じるのか。それはそれぞれの仕事で、求められる成果や演じるべき役回りが大きく異なるからだ。


書き手としてのキャラクターを前面に出すのか、出さないのか。ライターの署名があるか、ないか。成果は閲覧数(PVなど)なのか、実効果(購買数や応募数)なのか。取材スタンスは攻めなのか、守りなのか。


取材に同行者がいる場合には、その人の職種によっても「やるべきこと」が変わってくる。編集者のような機能を果たすこともあれば、営業パーソンや広報担当のような役割を求められることもある。それがどれくらい機能しているかは別として......。


一見すると同じような仕事に見えても、これだけ求められる成果や役割が違うのだから、これはもう「複業」ではないか。


ライターとしての仕事を始めた頃には、そうした多様性に戸惑うこともあった。「それってライターの仕事なの?」「そこまでやるの?」と感じたことも少なくない。でも今は、この多様性が大切なのだと痛感している。さまざまな現場に出入りし、異なる価値観を持つ人と接することが、間違いなく良質なインプットとなっているからだ。それはアウトプットの質を向上させることにもつながる。


「スパイラルキャリア」に腹落ちした理由

先日、この『Business Nomad Journal』で複業研究家として活動する株式会社HARES代表の西村創一朗さんを取材し、記事が公開された。


【やりたいことをあきらめない】複業研究家が教える「スパイラルキャリア」の築き方―HARES・西村創一朗さん
https://bn-journal.com/2017/05/20170501hares.html


西村さんは、どうせ複業をやるなら「本業と交わらないパラレルキャリアよりも、本業とがっつり交わるスパイラルキャリアのほうが絶対に良い」と話す。本業と副業をまったく別のものとしてとらえるのではなく、副業で得た知見を反映させることで本業自体も変化させ、新たなステップや職域へ進んでいくべきという考え方だ。


僕はこの考え方がストンと腹に落ちた。ライター業の範囲にこだわらず雑食的にいろいろと手を出してきた結果、単純に仕事が増えただけではなく、インプットとアウトプットも増やすことができた。ライターとして多少なりともキャリアを積んで来られたとすれば、それは上で紹介した(1)〜(6)のすべての仕事がスパイラルに絡み合ってきた結果だ。


自分が取り組める分野、飯を食える分野がいくつもあるというのは素晴らしいことだと思う。真にそう言いきれる状態を目指して、僕は今後もいろいろな仕事に手を出していきたい。会社員にとっての副業の意味も、究極的には同じではないだろうか。


記事制作/多田 慎介


【ライター】多田 慎介
フリーランス・ライター。1983年、石川県金沢市生まれ。大学中退後に求人広告代理店へアルバイトとして入社し、転職サイトなどを扱う法人営業職や営業マネジャー職に従事。編集プロダクション勤務を経て、2015年よりフリーランスとして活動。個人の働き方やキャリア形成、企業の採用コンテンツ、マーケティング手法などをテーマに取材・執筆を重ねている。

ビジネスノマドジャーナル編集部
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