【フリーランスと働き方改革】第12回:「営業としてキャリアを積んできた人」に興味を持ってほしい副業の話

新しい働き方ブログ
2017年06月06日

やりたい仕事があるのに手を出せない。興味のある分野があるのに挑戦できない。副業禁止の会社で働く知人はそんな悩みを抱えている。これは会社員という立場の大きなデメリットだと思う。フリーランスなら、どんなに方向性の違う仕事にも自分の意志一つで関わることができる。


前回は、企業の副業禁止規定は「フリーランスにとってもデメリット」だと書いた。相応のスキルと経験を持った人がいて、一緒に仕事で組みたいと思っても、相手が副業禁止の会社で働いている場合には動きようがない。「この人と組めばこんな風に案件を動かせるのに......」という絵が見えるからこそ、余計にもどかしく感じるのだ。


フリーランスのライターである僕が、企業に勤める個人とどのように絡んでいきたいと考えているのか。今回は記事制作の現場から語ってみたい。


1人のライターとして感じる物理的な限界

ライターとしての僕の仕事の中で大きなウエイトを占めるのは「インタビュー記事の制作」だ。


媒体の企画に合わせたり、ときには自ら企画したりして、記事の構想と取材時の流れ、想定質問項目などを準備する。当日は取材先に出向き、インタビュイー(取材対象者)との関係性を作りながら会話を進めていく。その内容をもとにして書き、実際の記事へと仕上げていく。


もう少し具体的に仕事のプロセスを分けると、以下のようになる。


(1)企画の打診を受け(あるいは企画を提出し)、取材日時の日程を調整
(2)媒体編集部と企画内容のすり合わせ
(3)取材先へ企画趣旨や質問項目を送付
(4)取材先へ出向いて取材を進める(多くの場合、所要時間は1〜2時間)
(5)取材時のメモや音源をもとに記事を執筆
(6)媒体編集部へ初稿を提出、修正
(7)必要に応じて取材先へ内容確認を依頼し、最終納品物として仕上げる


こうした基本的な流れを踏まえ、さまざまな案件に対応していくと、一ライターとしての限界も見えてくる。(1)の取材日程調整の段階で他の案件と重なってしまうことがあるからだ。多くの場合、取材に行けなければ(2)以降の流れに合流できない。1人でやっている限りは、こうした物理的な限界があることを常に意識していなければならないのだと思う。


編集者、ライターはいる。では「取材者」は?

しかし、信頼できるパートナーがいれば事情は変わってくる。上記で紹介したプロセスを以下のように「機能別」に分けて考えてみたい。


■企画・提案・調整......(1)(2)(7)
■取材準備・取材......(3)(4)
■執筆......(5)(6)


「企画・提案・調整」「取材準備・取材」「執筆」の3機能は、必ずしも1人の人間が一気通貫で対応しなくても成り立つ。実際にある程度の人員を抱える編集部や編集プロダクションなどでは、機能別に人員を配置したり外注パートナーを活用したりして対応している。


編集者と呼ばれる人の仕事内容が多岐に渡るのは、これらの機能をすべて内包し、状況に応じて幅広く対応しているからだ。多くの場合は「企画・提案・調整」に重きを置く。


クラウドソーシングでよく見られるような在宅ライターの仕事は、上記の中でも「執筆」の機能に専念しているものであるとも言えるだろう。取材音源を提供されて文字起こしをしたり、資料をもとに記事化したり。


では「取材準備・取材」の機能についてはどうだろうか。僕はここに、企業で働く個人が大いに活躍できる余地があると感じている。それはライターとして、非常に心強い存在になり得るとも思う。


「高い営業スキル」=「インタビュアーとしてのスキル」

僕自身が20代の10年間を営業職として過ごしてきたこともあり、周囲には「営業しか経験したことがない」という会社員が多い。

営業は収益の源泉であり、とても重要な役割だ。一方で外部からの評価は難しい。数字という分かりやすい結果を残していても、企業や商材、環境が変われば定量評価の基準も大きく変わる。広く通用する公的な資格もない。だから副業や次のキャリアを考えるときに「とはいえ自分は営業しかやったことがないから......」と二の足を踏む知人も多い。


しかし僕は、「結果を出してきた営業であれば記事制作の現場でも活躍できる」という持論を持っている。相手を理解し、関係性を作る。そのためにコミュニケーション能力を向上させ、さまざまなヒアリング手法を学ぶ。そうした訓練を積んできた人なら、良質な記事制作に欠かせない「取材準備・取材」の機能を担えると思うのだ。実際に僕自身、取材仕事には営業職時代に学んだことが大いに生かされている。


媒体や編集部が実現したい企画を理解して取材現場に臨み、初対面のインタビュイーと関係性を作りながらヒアリングを進める。そして音源やメモを執筆者に託す。その現場限りで完結する仕事だから、副業としての手離れも良いと言えるだろう。


そんな「インタビュアー」たちとのネットワークを広げ、媒体とも強い信頼関係を築いて連携していけたら......。全国各地に心強い「インタビュアー」がいて、どんな場所の取材にも対応できたら......。一ライターとしての物理的な限界を超え、可能性はどんどん広がっていくはずだ。こんな話を実際に活躍する営業パーソンに投げかけてみると、実際に興味を持ってくれる人も多い。副業容認の波が広がっていくことを待つばかりなのだ。


記事制作/多田 慎介


【ライター】多田 慎介
フリーランス・ライター。1983年、石川県金沢市生まれ。大学中退後に求人広告代理店へアルバイトとして入社し、転職サイトなどを扱う法人営業職や営業マネジャー職に従事。編集プロダクション勤務を経て、2015年よりフリーランスとして活動。個人の働き方やキャリア形成、企業の採用コンテンツ、マーケティング手法などをテーマに取材・執筆を重ねている。

ビジネスノマドジャーナル編集部
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