【フリーランスと働き方改革】第11回:企業の「副業不可」は、フリーランスにとって大きなデメリット【フリーランスと働き方改革】第11回:企業の「副業不可」は、フリーランスにとって大きなデメリット

新しい働き方ブログ
2017年05月30日

僕の身の回りには、「副業を始めたいのにできない」と嘆く人が多い。


人材業界大手で働く知人は、数年前にキャリアカウンセラーの資格を取った。もともとは本業に役立てるためのスキルアップが目的だったが、個人を対象にしたキャリアカウンセリングを生業にしている人を見て、「ゆくゆくは自分もこの領域で活動できないか」と考えるようになった。


フランチャイズ募集や代理店募集の支援を手がける会社で働く別の知人は、日々出会う魅力的な「副業パッケージ」に自分自身が手を出したくて仕方がないという。最近では初期投資をほとんど必要とせず、商材を取り次ぐだけの営業代行を副業として始める人も多い。「これまでの人脈を生かせば自分にも成果が出せそうなのに」と嘆く。


2人に共通しているのは、「勤め先が副業不可」ということだ。


企業が副業容認に動くのは「ビジネスモデルに限界がある」から?

働き方改革の文脈で語られることの多い副業。ここ最近は副業不可から容認に転じる企業も増えてきている。リーマンショック期の製造業に見られたような「減産で収入が減ってしまう分を副業で補ってね」という非常手段的な意味合いのものだけではなく、社員個人の成長を促し、それによって自社への貢献度合いを高めてもらうことを目的とする企業も多い。


副業で身につくスキルは、当然本業のそれとは異なる。新たな世界に触れ、新たな人脈を形成することもできる。個人事業的な仕事であれば経営者意識を育むことにつながるかもしれない。社内で本業と向き合うだけでは得られない成長機会があるのだ。1社に依存して生きていくにはあまりに不安が大きい時代。働く個人にとっても、副業には収入アップ以上の魅力がある。


一方、さまざまなメディアの仕事で経営者にインタビューし、「副業容認が進む風潮をどう思うか」と聞いてみると、まだまだ否定的な見解を持つ人も多いことに気づく。本業に支障が出るのではないか。会社へのロイヤリティーを下げることにつながらないか。情報漏えいの懸念も払拭できないではないか、と。


あるコンサルティング会社の経営者は「ビジネスモデルの問題ではないか」と指摘する。「社員が今働いている企業で一生勤め上げられないと感じているのであれば、それはその会社のビジネスモデルに無理があるということだ」。副業を容認しない代わりに、その経営者は社員にどうやって成長機会を提供できるかを常に考え、既存サービスの見直しや新規事業創出にも貪欲に挑んでいる。


経営者の懸念はもっともだし、深くうなずかざるを得ない部分もあるのだが、僕個人としては企業にぜひ副業を解禁してほしいという思いがある。


フリーランスは「自分の仕事を自分で作る」

フリーランスの場合はどうだろうか。


僕は今のところ、ライターとしての仕事で食べている。インタビューして記事にする、資料を精査してまとめる、他の誰かが書いた文章を編集するなどの違いはあるが、「テキストを成果物として納品する」というゴールは同じだ。これを本業とするなら、「テキストではない何かを成果物として納品する」仕事は副業ということになるだろう。


過去には「採用コンテンツの作り方」などをテーマにして講師を務め、フィーをもらったことがある。自分の中では副業の感覚だった。そういえば、フリーランスになったばかりの頃は思うように仕事が入らず、派遣社員としてお菓子工場やコールセンターで働いたこともある。収入を補うという意味で、まさに副業だった。


今後のことを考えれば、それがやりたいことであれば、「テキストではない何かを成果物として納品する」仕事にも貪欲に手を出していきたいと思っている。売り上げ拡大という意味でも、自分自身の成長という意味でも。


これは、自分の仕事を自分で作ることができるフリーランスならではのメリットだ。企業にいながらそれが可能になるのなら、フリーランスの生き方にもより幅を持たせられるのではないかと思う。そしてもう一つ、僕には企業の副業容認化をプッシュしていきたい理由がある。


頼れるパートナーを増やすためにも、副業容認が広がってほしい

これは多くのフリーランスに共通することだと思うが、フリーランスは他人のスキルや人脈に敏感だ。自分本来のカテゴリーではない仕事に挑戦するとき、個人の力では成し遂げられないレベルの仕事に挑戦するときには、何の迷いもなく人の助けを借りる。四の五の言っている場合ではないときもある。フリーランスは成果でしか評価されない存在なのだ。だから、「誰に何を頼めば、どんな風に力を貸してもらえるか」という情報を集めることには自然と敏感になるのだと思う。


冒頭で紹介した2人の知人にも、できれば力を借りたい。もし彼らがフリーランスだったらどんなにいいだろうかと思うときもある。それぞれ人材業界で長い経験があり、「個人のキャリア形成」「フランチャイズビジネスの成功事例」などの専門的な知見を持っているからだ。彼らと絡むことで、新たな記事の企画を生み出せるかもしれない。取材現場で協働できるかもしれない。


「めちゃくちゃ面白そうだし、ぜひやりたいけど......ウチの会社は副業NGなんだよね」


とはいえ今のところは彼らも、そう答えるしかない。自分の意志で仕事を作れないのは、明らかに「古い会社員モデル」のデメリットだ。僕のようなフリーランスにとってそれは、頼れるパートナーが限られてしまうというデメリットでもあるのだ。


記事制作/多田 慎介


【ライター】多田 慎介
フリーランス・ライター。1983年、石川県金沢市生まれ。大学中退後に求人広告代理店へアルバイトとして入社し、転職サイトなどを扱う法人営業職や営業マネジャー職に従事。編集プロダクション勤務を経て、2015年よりフリーランスとして活動。個人の働き方やキャリア形成、企業の採用コンテンツ、マーケティング手法などをテーマに取材・執筆を重ねている。

ビジネスノマドジャーナル編集部
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