【市場規模予測600億円!シェアリングエコノミーが生み出す新たなビジネスチャンス】第7回:国土の少ない日本で急成長!「場所」のシェアリングビジネス―軒先株式会社

知見・スキル
2017年05月12日

「場所」に関するビジネスといえば、宿泊、オフィス、倉庫といった事業が思い起こされますが、その中でもユニークな視点でビジネスを興し拡大中の企業があります。今回取り上げる軒先株式会社は、一般の住宅の軒先を活用したシェアリングビジネスを始めて9年。2012年には、個人の駐車場も扱う軒先パーキングを開始し、2020年のオリンピックイヤーまでに5万台の駐車スペース獲得を目指すほどの勢いを見せています。そこで、軒先の代表取締役の西浦明子氏にお話を伺いました。


「ちょっとだけお店をやってみたい」というニーズがC to Cの拡大に繋がった

筆者:

軒先って、"ちょっと借りる"感じがいいですね。

西浦氏:

そういっていただけると嬉しいです。ですが当初は不動産業界でのBtoBで、気軽な感じでシェアするのが難しい時期が続きました。世の中でシェアリングエコノミーという名前が普及してから、ここ1・2年でようやく一般の不動産オーナーが参入してきて活性化してきたところですね。


筆者:

どういう方が利用されていますか。

西浦氏:

40~50代で比較的年齢が高く、モノを売るプロの方が多いですね。販売するものは、野菜、雑貨、スイーツなど様々、それにプロモーションや販促に使われることもあります。路上だと道路使用許可が必要になりますが、私有地内であれば許認可は不要です。ちょっとしたスペースがあればテーブルを置いて商品を並べたり、人が接客できるのでさまざまな用途にお使いいただけます。


筆者:

ここ数年で変わってきたことはありますか?

西浦氏:

誰でも簡単に1日からお店が開けるという気軽さで使ってもらえるユーザーが増えてきました。女性の方でも、フルタイムで働くのは難しいけれど、アロマの教室を週末だけ開くなどというケースも増えていますね。


筆者:

CtoCが増えた理由としてどんなことが考えられますか?

西浦氏:

インターネット上では、フリマアプリやオークションサイトなどで個人間売買が簡単にできるようになりましたが、まだまだリアルな出店スペースとなると、今までだと不動産会社が間に入って、賃貸契約で物件を長期に借りるか、フリマで出店するくらいしか選択肢がありませんでした。今は私たちが開発したシステムで誰でも簡単に1日単位でお店を開くことができるようになりました。個人オーナーと個人ユーザーが増えたのもそれが大きな理由ですね。


レジャー産業のインフラとしての駐車場シェア

筆者:

軒先パーキングも順調に拡大しているようですね。

西浦氏:

成長速度でいうと、こちらのほうがスピードが早いかもしれないですね。理由のひとつが、「モノを所有する」ことよりも「コト」「体験」することに価値を見出す人が増えてきたからだと考えています。たとえば音楽業界では、CDの売上は下がっていますが、ライブの公演数は伸びています。ライブに行くには、移動の手段が必要です。もしかしたら車を使わないと不便な場合もありますよね。


これまでは、駐車場を確保するために朝早く出かけたり、運を天に任せる、つまり、行ってみないと駐車場の空き状況がわからなかったわけですが、事前に駐車場が確保できていれば、ものすごく便利ですよね。ですが、こうしたイベント時のニーズというのは、普段は必要ない場合が多く、日常的に駐車場にしておくわけにはいかないんです。


そこで考えたのが、イベント時だけ駐車場にすること。この4月に埼玉県富士見市の運動場でももいろクローバーZのコンサートが開催されるのですが(取材時は3月)、そのときだけ駅からシャトルバスなどが何台もやってくる予定で、駐車場のニーズはいくらでもあります。近くにコインパーキングはないけれど、使っていない戸建ての駐車場や空き地ならたくさんある。そこで近くの地主さんにお願いして駐車場を確保するのです。こうすると、イベントに車で来る人の駐車場ができるだけでなく、周辺の路上駐車や渋滞の緩和にもつながる。これが軒先パーキングの仕組みです。


筆者:

駐車場に予約ができる?

西浦氏:

旅行をするのであれば、予定が決まったら新幹線の予約を入れますよね。駐車場も同じです。たとえば戸建てにお住いで車通勤のオーナーは、平日の日中だけ貸し出すことができます。その時間帯を予約して使ってもらうのです。コンサートに行くなら、近くの駐車場を予約しておけば安心ですからね。


筆者:

そうなると、ニーズが多い日や混む日は高くなったりと、株価のように利用料金が変動するという感じでしょうか。


西浦氏:

東京ドームでも、オン・オフによって値段が変わります。その変動率などを独自に調査して、通常はコインパーキングの7~8割の値段で提供しています。しかし一方で、サッカー、アイドルコンサートなど人気が高い催しがあるときは、プレミア料金を出してくれる人もいます。需要と供給のバランスで価格が決まるのは、どの商品・サービスでも同じですよね。


ローリスクでハイリターンのビジネスモデル。目標は2020年に5万台

筆者:

それでは最後に、今後の目標を教えてください。

西浦氏:

現在のところ、登録駐車場のリスティング数は全国13万人の登録者に対して3800台分しかありません。これを2020年には5万にまで伸ばしたいと思っています。


コインパーキングではありませんから、土地を仕入れる必要はありません。今ある、使っていない駐車スペースを貸していただくだけですから、コストもかかりません。これからは駐車場も予約できるのが当たり前の時代になります。会員同士がうまく使ってもらえるように、がんばりたいですね。


まとめ

軒先株式会社のホームページに記載されているミッションに、こういう見出しがあります。「あなたのスペースが作る日本の未来」。軒先ビジネス、軒先パーキング、ともにCtoCでのシェアリングエコノミーに参加する人々への呼びかけです。実は筆者自身も、1日だけのレストランを開いてみたいと思う一人。共有することで働き方も変わっていく予感は、現実につながっていきそうです。


福島県喜多方市では、今年の4月、軒先社と協定を結び、しだれ桜の開花期における駐車場の確保のため、地元市民や企業の空いている駐車スペースを、軒先パーキングを活用して来訪者に貸し出すサービスの実証実験を行いました。。同社はこの活動を通じて、全国各地のケースに対応する力をしっかり蓄えているところ。インフラとしての駐車場シェアリングの未来に期待を寄せたいと思います。


取材・記事制作/ナカツカサ ミチユキ


ビジネスノマドジャーナル編集部
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