【外国人労働者の増加で職場・生活はどう変わる?】第7回:日本のやり方を押し付けるのはNG 相手をリスペクトし協働できる道を探す

新しい働き方事例
2017年05月11日

外国人労働者を受け入れるメリットとして、「異文化理解」や「国際交流による経済の活発化」などが挙げられています。そこには、日本人と外国人がお互いをリスペクトし、理解しようと試みることが前提になっています。


ですが、日本企業に多数の外国人が働いたとして、「お互いをリスペクトし、理解しようと試みる」環境になるのでしょうか。


外国人は、礼儀正しくマジメな日本人を期待しています。一方日本企業は、外国人に対し「日本の文化を理解し、日本社会に適応しろ」と要求します。


外国人を理解するよりも日本への理解を求める圧力が強い日本は、外国人という「異物」に対応できるのでしょうか。


外国人による日本人のイメージ

日本人はよく、自ら「日本人は世界で好感度が高い」と言い放ちます。実際、礼儀正しくマジメな人が多いのは事実でしょう。では、外国人は日本人に対し、どのようなイメージを持っているのでしょうか。


電通による、2012年の『ジャパン・ブランドの調査』では、外国人による日本人へのイメージ調査の結果が発表されています。


過半数以上の回答者である外国人が持っている日本人のイメージは、「勤勉」が55.9%、「礼儀正しい」が55.4%です。また、「気さく」が40・8%、「やさしい」が39.7%となっています。ステレオタイプ通り、「日本人は礼儀正しくマジメ」だと思われているようです。


マイナスのイメージとしては、「おとなしい」が24.1%、「細かいことを気にする」が15.1%、「計算高い」が12.9%、「閉鎖的」が11.4%となっています。個人差はあるにせよ、日本人のわたしからしても、妥当なイメージだと感じます。


雇用機会を求めて日本に来た外国人もまた、こういったイメージを抱いて日本に来ているでしょう。つまり、勤勉で礼儀正しく、気さくでやさしい日本人を期待しているのです。


外国人を雇う日本人の本音

では、外国人を雇用している日本企業は、外国人になにを求めているのでしょうか。人材育成センターによる『外国人採用に関するアンケート調査報告書』では、「企業が外国人労働者に対してどのように考えているか」の調査結果がまとめられています。


「外国人留学生を採用するにあたって不安な点」では、「組織への順応性・協調性」を上げている企業が最多となっています。また、「外国人留学生の採用の際のポイント」では、「日本文化・社会への知識・理解・適応力」がトップ、「日本人学生と比較して課題である点」では、「日本のビジネスマナー・社会常識」がトップになっています。


この結果から考えると、日本の企業は、外国人を採用するにも関わらず、日本人と同じように組織に順応し、協調性を持ち、日本文化や社会に理解し適応し、日本のマナーや社会常識を身につけていることを期待しているようです。

「礼儀正しい」「やさしい」といったイメージを持たれているにも関わらず、日本の企業は、相手の文化や価値観を尊重するよりも、「日本に合わせてほしい」と考えていることがわかります。


ですが、考えてもみてください。あなたがアメリカで就職活動したとして、「アメリカルールが正義」だと言い切られたら、どう思いますか。


たしかに、英語力や、アメリカ文化への配慮は、もちろん必須です。ですが、だからといって「アメリカ社会への適応力」「アメリカのビジネスマナーの知識」などを重視されてしまっては、たまったものではありません。


「それならば、アメリカ人を雇えばいいじゃないか」。そう言いたくはなりませんか。


外国人が日本で就職できない理由

2016年7月14日にNHKで放送された『おはよう日本』では、『なぜ進まない 外国人留学生の「就職」』というテーマが特集されていました。番組内では、留学生受け入れが拡大し、そのうちの多くが日本での就職を望んでいるにもかかわらず、実際就職する人が少ないことを問題視しています。


そこでは、日本で就活をした留学生たちの、「説明会や面接にも行ったが、日本での就職活動を続ける意欲がなくなった」、「英語で授業を受けていたので、日本企業が求めるレベルの日本語を話せない」、「日本文化に合わせるのがむずかしい」などの声が取り上げられています。


日本独自の新卒採用システムに戸惑ったり、面接の入室の仕方や着席の作法に困惑している留学生たちの姿も映し出されていました。


前述した、日本企業が求める「日本社会への理解」や「日本文化への適応」などが、外国人留学生にとって大きな負担になっていることがわかります。


たしかに、「郷に入れば郷に従え」というのも、ひとつの意見です。同僚はともかく、取引相手などが外国人労働者にどれだけ理解を示してくれるかわかりませんので、ある程度の「日本への理解」は必要でしょう。


ですが、外国人とわかっていて採用するのですから、日本のやり方をすべて押し付け、日本への適応を強制することは、異文化交流において最悪の悪手です。


外国人労働者を採用するのであれば、相手の国への敬意と尊重が不可欠です。相手の国へのリスペクトなしに、「日本を理解しろ」というのは横暴です。


外国を採用するのなら、まず相手のバックグラウンドに対する理解がなくてはいけません。受け入れる側が相手を許容してはじめて、相手が歩み寄ってくれるのではないでしょうか。


企業が外国人労働者に対して「日本を理解して受け入れろ」と言っているうちは、外国人採用のメリットである「異文化理解」の恩恵は、受けられそうにもありません。


取材・記事制作/雨宮 紫苑


ビジネスノマドジャーナル編集部
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