【フリーランスと働き方改革】第7回:目標管理に必要なのは「超シンプルなExcel」と「◯◯のプレッシャー」

新しい働き方ブログ
2017年05月02日

僕は20代の10年間を求人広告の営業職として働き、その後ライターという仕事を選んでキャリアチェンジした。営業職、とりわけ求人広告の営業を経験したことで明らかにプラスになっていると思うことが2つある。


1つはさまざまな業種の経営者と出会い、ときにはシビアな折衝をする体験を積んできたこと。取材現場に出向けばさまざまな人に出会うが、大抵のことではへこたれない、ある種の精神的なタフさを身につけられたと思う。そしてもう1つが、「目標達成の意識」を強く持つようになったことだ。


子どもが生まれて1年半というタイミングで「フリーランスになりたい」と相談したとき、僕よりもはるかに現実主義者である妻から出された条件は、「目標を設定し進捗管理すること」と「半年間で達成できなかった場合はどんな業種でも構わないから正社員になること」だった。状況次第では早々にフリーランス廃業。そうならないために始めたのが、営業職時代と同じように目標達成を追いかけることだった。


「商売が順調かどうか」を評価できるのは自分だけ

媒体社(広告を掲載する、つまり広告媒体になる企業)にもよると思うが、求人広告の営業が追いかける業績目標というのはかなりタイトで、かつハードだ。ウェブ媒体であれば週に数回、紙媒体でも週に1回は「掲載申し込みの締め切り」があり、営業はそこに合わせて目標設定と管理をする。僕の場合は「四半期の目標」を大きな到達点とし、それをブレイクダウンする形で「月間目標」「週目標」を追いかけていた。


このサイクルに体のリズムを合わせて10年間生きてきたので、今ではきっちりと数値目標を掲げ、進捗を日々見ていくことを心地良いとさえ感じる(営業時代は辛いことも多かったが......)。


世の中のさまざまな商売と同様、ライターとしての僕の売上も「単価×顧客数」で決まる。取材案件を中心に適正な単価の仕事を数多く引き受け、同時に取引先を増やしていくことが必要だ。ただし、漫然と日々の仕事に流されて定性的にしか自分を評価できないようでは危うい。フリーランスの場合、納品物のクオリティを評価してくれる人はいても、「あなたの商売が順調か」を評価してくれる人は基本的に一人もいないからだ。


自身で目標数値を設定しなければ、それまでの歩みが是なのか否なのか、定量的に判断することができない。フリーランスの数だけ目標管理の方法があるだろうが、僕の場合はこれを「Excel管理」と「妻への報連相」で進めている。


「達成率」を見て冷静に目標管理をする




上の表は、僕が実際に動かしている目標管理シート。「月報」と名付けて、自分なりに魂を込めて運用している。見ていただければ分かる通り、とてもシンプルな表だ。


営業時代は「四半期」「月間」「週」で目標を追いかけていたが、ライター業でこのサイクルではさすがに細かすぎて追いきれないので、「年間」「半期」「月間」で目標を置いている。大きな事業範囲として「求人広告制作」と「メディアコンテンツ制作」に分け、クライアントごとに月の売上を計上して目標達成を目指す。


数値はさすがに公開できないのだが、目標設定の際は「簡単すぎず、難しすぎない」さじ加減にしている。寝ていても達成できるような目標には意味がない。かと言って、あまりにも実現不可能な目標では一瞬で形骸化し、追いかけなくなるのが目に見えている。これも営業時代の経験が生きているのだと思う。


月間や半期、年間での目標達成は大前提。その上でさらに重視しているのは「売上/目標」で弾き出される「達成率」だ。苦労してギリギリの「100.1パーセント」で達成するのはドラマチックだが、「110パーセント」「120パーセント」と高い水準で達成できたほうが良いに決まっている。クライアント別の売上を更新すれば月間・半期・年間の達成率も更新されるようにし、早い段階で売上を積むことで、最終ゴールである年間目標の達成が目に見えて近づくようにした。


年間や半期の目標に対する達成率が見えていれば、月間単位での結果に一喜一憂することもなくなる。こうやって僕は、冷静に自分の目標を管理するように努めている。


目標設定の段階から相談し、節目には「達成祝い」

この月報を運用し続ける際に欠かせないのが「妻への報連相」だ。会社員なら、マネジャーなど「詰め役」になってくれる人がいる。しかしフリーランスには基本的にそんな相手はいない。達成率が200パーセントでも誰にも褒められないし、仮に10パーセントで終わっても非難されない。ただ自分の生活が苦しくなっていくだけだ。


僕が既婚者で良かったと思うのは、その詰め役として妻が、文字通り本気で関わってくれることだ。期初に年間の目標設定を相談し、クライアント名や個別案件などの機密情報を伏せた状態で毎月の結果と進捗を報告する。状況が厳しいときには「どんな対策をしているの?」と詰めてくれるし、高いレベルで達成できれば一緒に喜んでくれる。節目節目で「達成祝いの会」を開いてくれることもある。


フリーランスになったばかりの頃からこの方法で目標管理をし、もうすぐ2年。同じフォーマットで運用し、何とか達成し続けることができている。元営業の自分にとっては、こうして適正なプレッシャーをかけてもらうことが正解なのだろう。


売上、つまり「お金」を明確に管理することで、お金に振り回されることなく仕事ができているとも感じる。純粋に自分がやりたい仕事なのか、やるべき仕事なのか。純粋にそう考えながらフリーランスを続けていられるのは幸せなことだ。


ただ一つ、気がかりなこともある。2期目が始まるときの目標設定では、当初僕が出した案に妻の承認が降りず、前年比でかなりのアップとなってしまったのだ。予想以上に僕の「詰め役」は厳しかった。今のところはどうにか達成できているものの......。3期目の目標設定が少し恐ろしい。


記事制作/多田 慎介


【ライター】多田 慎介
フリーランス・ライター。1983年、石川県金沢市生まれ。大学中退後に求人広告代理店へアルバイトとして入社し、転職サイトなどを扱う法人営業職や営業マネジャー職に従事。編集プロダクション勤務を経て、2015年よりフリーランスとして活動。個人の働き方やキャリア形成、企業の採用コンテンツ、マーケティング手法などをテーマに取材・執筆を重ねている。

ビジネスノマドジャーナル編集部
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