【外国人労働者の増加で職場・生活はどう変わる?】第5回:日本はただの「就職先」 日本好きの外国人という幻想が外国人労働者問題を複雑にしている

新しい働き方事例
2017年04月27日

外国人労働者が増加している日本。そもそもなぜ彼・彼女たちは、ほかの国ではなく、「日本」にやってくるのでしょうか。また、どこの国からやってくるのでしょうか。


日本にいる外国人というと、中国や韓国出身の人が多いように思えます。ですが外国人「労働者」となると、少し事情が変わってきます。


また、テレビなどでは「日本が大好きでやってきた外国人!」という取り上げられ方をすることも多いですが、仕事のために来日した外国人が、必ずしも日本が好きだとは限りません。


今回は、統計を踏まえて、外国人労働者の出身国や来日理由について考えていきましょう。


外国人労働者は、どこからなんのために?

2016年10月、日本にいる外国人労働者は100万人を超えました。厚生労働省発表によると、出身者の国籍は、以下のようになっています。


・中国:344,658人(全体の31.8%)
・ベトナム:172,018人(同15.9%)
・フィリピン:127,518人(同11.8%)
・ブラジル:106,597人(同 9.8%)
・ネパール:52,770人(同 4.9%)


この統計を見ると、アジアから来日している人が多数を占めています。それに対し、欧米のG8+オーストラリア+ニュージーランドは、たった6.2%に留まっています。アジアからは労働先として人気があるものの、欧米からわざわざ日本に働きに来ようとする人が少ないことがわかります。


また、ブラジルには日系人も多いので、その影響で割合が大きくなっているのだと思われます。


外国人労働者は日本大好き!という思い込み

「外国人が日本に働きに来る」というと、どんなイメージをしますか? アニメや漫画が好き、着物や茶道に興味がある、日本語を勉強したい、とにかく日本が好き......。このように、テレビでよく取り上げられる「日本オタク」を想像しませんか?


旅行や留学に来るのであれば、そういった人も少なくないでしょう。ですが、「働く」と考えると、もっと現実的な理由が見えてきます。


2009年の労働政策研究・研修機構による『外国人労働者の雇用実態と就労・生活支援に関する調査』では、来日理由の統計を発表しています。その統計によると、「日本の方が就労機会が多い」が88.2%と圧倒的多数となっており、2番目に多い「賃金」の20.9%を大きく引き離しています。


多くの外国人労働者の出身地である中国やベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパールなどは、往々にして物価が安く、平均年収は日本より下がります。


日本で働く=日本が好きというイメージがあるかもしれませんが、日本と同程度稼げる欧米諸国から来日して働いている人は少数である現実があります。外国人労働者は、日本に憧れてやってきたというよりも、「出稼ぎに来ている」という方が正しいでしょう。


外国で働くためには、煩雑なビザ手続き、家の契約、渡航に引っ越し、就職活動や保険の加入など、経済的・精神的なストレスを乗り越えなくてはなりません。そうまでして来日する理由は、自国よりも働ける環境が整っているという、現実的な背景があるようです。


日本はただの就職先?

先ほども取り上げた『外国人労働者の雇用実態と就労・生活支援に関する調査』では、外国人労働者の、日本語レベルの調査結果も発表しています。


会話能力は、「話せない」が30.3%、「あいさつ、買い物程度」が44.8%、日常会話程度が20.3%、「仕事で困らない」が4.6%となっています。また、筆記能力は「書けない」が52.3%で、読解能力では「読めない」が68.4%となっています。


日本で働いている外国人労働者は、日本語がペラペラのエリート会社員というよりは、日本語レベルは高くない出稼ぎ労働者が多い、というのが実情のようです。


日本語能力取得を過度に強制したり、日本への適応を条件としてしまうと、人権問題になりかねません。外国人労働者は、就職先の企業や家主が特に定めていない限り、日本に迎合する義務はないのです。


そう考えると、外国人労働者受け入れのメリットである「異文化理解」や「多様性による活性化」が当てはまるのか、という疑問が湧いてきます。


日本語能力があまり高くない外国人労働者が、多言語話者が少ない日本で働いて、果たして互いがちゃんと異文化を理解し、多様な価値観を認め、社会や経済が活性化するのでしょうか。


受け入れはもっとビジネスライクに

移民を多く受け入れている欧米諸国を考えればわかることですが、出身国以外に住んでいるからといって、必ずしもその国の言葉を学び、伝統を重んじ、同じ価値観を持つ必要はありません。互いへのリスペクトが必要ですが、それは海外で働くにあたって、絶対条件ではないのです。


日本で働く外国人だからといって、みんなが日本語を勉強するとは限りません。相手からすれば、仕事を求めてやってきただけであって、日本が期待している異文化理解や多様性による活性化に貢献する必要はないのです。


外国人労働者が、無条件に日本に貢献してくれる、という考えは、楽観的すぎると言わざるを得ません。

外国人労働者を受け入れるのであれば、互いにメリットのために、もっとビジネスライクに考えるべきではないでしょうか。


「相手は日本が好き」「日本語を勉強して日本に順応してくれる」「都合が悪くなったら帰国してくれる」といった自分本位な決めつけは、将来大きなツケとなって、日本にネガティブな影響を与えるでしょう。


取材・記事制作/雨宮 紫苑


ビジネスノマドジャーナル編集部
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