【外国人労働者の増加で職場・生活はどう変わる?】第4回:その場しのぎの受け入れ対策すら未定 外国人に対して無防備・無関心すぎる日本人

新しい働き方事例
2017年04月20日

前回の記事で、外国人労働者の約4割が、永住者や定住者、日本人の配偶者などを指す、「身分に基づく在留資格」を持っていることについて触れました。つまり、外国人労働者といえど、日本を生活基盤にしている人も多いのです。


そう考えると、外国人労働者の受け入れは、単なる労働力の話ではなく、移民として日本に受け入れるかどうかの話でもあることがわかります。


外国人労働者の受け入れの判断は、国の行く末に大きく影響します。それは、アメリカやヨーロッパの現状を踏まえれば、推して知るべしです。


そんな重要なテーマであるにも関わらず、日本人は移民問題に対し、あまりに無関心ではないでしょうか。


日本人は外国人労働者に無関心?

「移民問題」という言葉を耳にしたことがあっても、なにが焦点になっているかを理解している人は、意外に多くないかもしれません。


自分なりに意見があったとしても、どういった理由から賛成・反対するかを、きちんと主張できるかと言われれば、できない人の方が多いのではないでしょうか。


2004年の少し古い調査ですが、内閣府大臣官房政府広報室による世論調査では、「外国人労働者の問題」に関する議論に、「関心がある」人が53.1%、「関心がない」割合が45.7%となっています。当時は、約半数の人しか、外国人労働者に興味がなかったのです。


「関心がある」人は男性が多く、50代、60代の割合が高くなっています。また、管理・専門技術・事務職に従事している人が多いという結果になっています。


対して「関心がない」人は女性が多く、20代、70歳以上の割合が高くなっています。専業主婦が多いことも、特徴のひとつです。


つまり、「関心がある」と答えた人は、外国人労働者の受け入れ拡大によって、影響を受ける立場にある人が多くなっています。逆に、社会に出て日が浅い、もしくは引退している年代の人や、家にいることが多い人にとっては、あまりピンとこない問題なのかもしれません。


現在はもっと多くの人が、外国人労働者に興味・関心を持っているでしょう。それでも、ヨーロッパやアメリカに比べ無関心であることは、ニュースを見ていれば一目瞭然です。


島国であり、植民地にされた歴史もない日本では、「あくまで日本は日本」と悠長に構えてしまうのも、仕方ないことなのかもしれません。ですが、国境の壁がなくなりつつある現代では、それはあまりに無防備です。


多文化共生については受動的な姿勢

2014年、JCIEは、都道府県や政令指定都市の「多文化共生・国際交流施策」の担当課に、多文化共生施策についてのアンケートを実施しました。結果は、「『多文化共生と外国人受け入れ』に関するアンケート調査報告書」にまとめられています。


「地域社会において在住外国人に関する問題やトラブルはどの程度でしょうか」という問いに対して、「課題、問題はやや多い」が24%、「問題は少ない」が24%と同程度になっています。注目すべきは、「わからない」が28%に上っていることです。


つまり、役所は在住外国人の生活について、しっかりと把握できていないのです。


「定住外国人の増加についてどう思うか」に関しては、望ましい、望ましくないよりも、「その他」が59%と多数派となりました。「その他」と回答した理由は、「現時点での判断は困難」が35.3%、「増加のための特別の施策はしないが、必要に応じて定住外国人に対する施策を展開していく」が29.4%となっています。


「まだよくわからない。外国人が増えたらなにかする」という、非常に消極的な姿勢が見て取れます。


「移民政策が行われる場合、どんな取り組みをするか」という質問に対しては、「その他」が72%で、その内訳は、「未定」が52.4%と、頼りない結果になっています。


在住外国人のトラブルを把握せず、外国人が増加したら必要に合わせて施策を展開するつもりだが、その施策は未定......。都道府県や政令指定都市の担当部署でさえこの程度の認識なのです。見通しが甘いと言わざるをえません。


お役所でさえそうなのですから、市井の民が「自分には関係ない」と思うのは、当然のことだといえるでしょう。


身近でないものを冷静に議論できるのか?

日本で生まれ育ち、友人もみんな日本人で、海外で暮らしたことがない人からすれば、「移民問題」は身近には感じないかもしれません。


ですが、外国人労働者も、日本に拠点を持ち、家族を呼び寄せれば、日本に腰をすえて生活をすることになります。「外国人労働者」と「移民」の受け入れを一緒くたには語れないものの、受け入れは慎重にならなくてはいけません。


現在のヨーロッパやアメリカの状況を考えると、外国人の受け入れが、どれだけ国の未来に影響を与えるのかは、容易に想像がつきます。それなのに、日本はあまりにも外国人に対して無関心で、無防備ではないでしょうか。


受け入れの賛成や反対は個人の自由ですが、もっと関心を持ち、受け入れるならば受け入れるなりの、受け入れないならば受け入れないなりの対策や準備が必要なはずです。


国は、国民が無関心なことをいいことに、都合のいい面ばかり着目して外国人労働者の受け入れ拡大を進めています。それは、少し軽率に思えます。


「気づいたら外国人が増えている」という状況になりつつある日本。もっと「日本にいる外国人」に関心を持ち、受け入れの賛否を問う議論を活発にする必要があります。


取材・記事制作/雨宮 紫苑


ビジネスノマドジャーナル編集部
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