【中小企業のためのマーケティング・ブランディング戦略】第6回:ブランディングとは、「戦略的に仕掛ける技!」具体的な構築プロセスとは?

知見・スキル
2017年04月17日

前回は「ブランディングの本質」をテーマに、顧客の「心を動かす」方法や、行動を喚起させるような「仕掛けづくり」の重要性についてご紹介しました。顧客の心を掴むためには、「選ばれる努力」が必要不可欠です。


●インパクトを与える視覚的要素(ビジュアルコミュニケーション)
●心に残るメッセージ性(ブランドの基盤となる根拠)
●ワクワク・ドキドキ、なるほどを感じさせる仕掛け(買う理由の提供)


これらのポイントを効果的に組み込みながらマーケティングを行うことにより、売りたい商品・サービスでしか得られない体験や感動を「価値」として、顧客側に提供することができます。


今回は、ブランド価値を最大化させる具体的な「ブランディング構築プロセス」について取り上げます。
ブランディング構築に必要な「シンボリックストーリー」の活用や、顧客接点としての「ブランド体験の向上」など、変化激しい時代に対応した効果的な構築プロセスにフォーカスしてお伝えします。


歴史の中に眠るストーリーを呼び覚ます

まず始めに、あなたが生まれてから現在までの出来事を、簡単に振り返ってみてください。特に印象に残っている出来事はあるでしょうか?私たち一人一人に様々な歴史があるのと同じように、企業の創業から現在に至るまでには、様々な物語があるはずです。


会社の歴史の中には、これまでの色々な出来事が凝縮されたエッセンスとなるストーリーも眠っています。それを探し当てることは、競合企業に負けない「強み」を見つけることに繋がります。同じようなカテゴリーに属する商品・サービスであったとしても、他と違う何かを演出できるのは、その企業にしか無い「歴史=ストーリー」を武器にしてこそです。


企業のストーリーは価値あるコンテンツ資産と捉えることができます。企業の強みが伝わり、企業の戦略方針に沿った内容であり、尚且つ、人々の共感を得られるような物語。これこそが、企業の強みとなる「シンボリック・ストーリー」となります。シンボリック・ストーリーをうまく活用できれば、価格競争や同質化の波にのまれずに、一歩抜きんでた存在として顧客の記憶に刻むことができるのです。


魅力的な物語(ストーリー)が必要な理由

魅力的な物語は人を惹きつけます。しかし、物語は初めから魅力的なわけではありません。人を引き寄せるような魅力は、ストーリーの組み立て方、外に向けての発信の仕方、などによっても形づくられていきます。


ブランディング構築に必要なストーリーは「魅力的なもの」でなければ意味がありません。そして、何よりも大切なのは、顧客の記憶に残るストーリーを提供すること。そのためには、共感・驚き・発見、の仕掛けが必要です。


心を動かす内容は、顧客にとっての「価値」、すなわち「選ぶ理由」になります。選ぶ理由が無ければ、顧客の目には留まりません。もっと言ってしまえば、興味を持ってもらえない商品・サービスは、そこに存在しないのと同じこと。ということです。少し厳しい言い方ではありますが、これが紛れもない現実なのです。


同じような商品を同じように売り出しても、なかなか売れるはずはありません。しかし、そこにしかない「体験」や「気づき」が加われば、どこにでもあるような商品として、埋もれてしまうのを避けられると同時に、顧客を確実に惹きつけることができるというわけです。


シンボリックストーリーという視点を意識しながら、企業を物語るような魅力的なストーリーを組み立てることで、ブランド価値を高め、顧客への興味・関心を獲得することが可能となるのです。


ストーリーブランディングの最大の目的は「魅力」を見つけること

会社のストーリーは誰からも借りることができません。自社の歴史をどこかから買い取ることも不可能ですよね。
ここで試されるのは、「自己分析能力」です。自分(たち)の会社を客観的に細かく分析できれば、最大の魅力がどこにあるのか、どのような顧客にどんな風に伝えれば最も効果的なのか、という気づきが得られます。


まずは、ストーリーブランディングに必要な3つのステップを以下にまとめてみました。
この3つのステップは、情報収集から発信までのプロセスを具体的に分かりやすく示したものです。


①ストーリーリスニング(調べる)
②ストーリーメイキング(組み立てる)
③ストーリーテリング(発信する)

1つ目の「ストーリーリスニング」では、企業の誕生やビジョン、創業者の想いや誕生秘話など、あらゆる情報を集めるフェーズです。企業の本質と繋がる貴重な情報を収集することが一番の目的です。


2つ目の「ストーリーメイキング」では、ストーリーリスニングで集めた情報を、短い物語に仕上げていきます。様々な情報の中から「魅力的なもの」に絞って物語を組み立てることにより、企業の顔になるようなインパクトある「魅力」が見つかります。


3つ目の「ストーリーテリング」では、「伝えること」が最大の目的となります。ストーリーメイキングで作成した物語を、顧客に向けて分かりやすく、印象的な内容になるように尖らせ発信していきます。


調べる・組み立てる・発信する、の3ステップで企業の魅力を引き出し、企業の持つオリジナルストーリーの「価値」を高めることができれば、ほとんどブランディングは成功したと言えるでしょう!


ストーリーの発信は単なる宣伝ではありません。その企業がどのようなビジョンを持ち、どのような将来設計を考えているのか、興味深く発信することで、記憶に刻まれ、持続的な信頼・信用を勝ち取る程のインパクトがある反面、捏造や、過大なアプローチは、同じく悪い記憶として刻まれる為、リスクがあることも事前に想定した上で、組み立てなければなりません。


モテる人から学ぶモテる要素=成功の秘訣

物語を作るときに一番大切なことは何でしょうか?それは、自分(自社)の魅力を知ることです。


以前の連載記事でも「恋愛」に関係する例を出したことがありましたが、ストーリーブランディングでも同じことが言えます。


今回は「選ばれる」という視点で、例を挙げていきたいと思います。


あるところに双子の兄弟がいました。顔立ちも同じ、学歴も同じ。就職した会社も同じでした。しかし、兄は185センチ、弟は165センチ、というように二人の間には20センチもの身長差があったのです。兄は服装や髪形などに無頓着でしたが、身長にコンプレックスを感じていた弟は、自分のスタイルが良く見える服装や髪形などを、学生時代から一生懸命に研究しました。そして何よりも意識していたのは「人を楽しませる話術」を身に着けることでした。さて、この兄弟の場合、どちらの方がモテるでしょうか?


これはあくまで例ですが、お洒落で会話が楽しい「弟」の方に軍配が上がりそうですよね。なぜならば、弟はセルフブランディングによって、自分の「良さ=魅力」を引き出すことができているからです。


モテる人には共通する特徴があります。それは、自己分析能力に長けていることです。そして、自分が一番モテるであろう対象と「出会う能力」、「出会いを察知する嗅覚」にも優れています。


企業のブランディングについて考えるときも、「どうすれば(対象に)モテるか?」という視点で捉えると、方針を定めやすくなります。個人的にも、不純な動機!?かもしれませんが、分けずに考える事で、ストンと腑に落ちるケースは、これまで何度もありました。


自分たちは何なのか?顧客に何を伝えたいのか?自社の商品・サービスの強みは何か?
どんな歴史があって今に至るのか?

自分たちの魅力を引き出し、目に留まる存在としてアピールしていく方法が見えてくることでしょう。
顧客にモテるためには、ストーリーブランディングによる仕掛けづくりが強力な武器となります。
ブランディングとは、「戦略的に仕掛ける技」なのです!


あっと驚くストーリーで、企業の魅力を全開に

「モノからコトへ」というキャッチフレーズをよく聞きますね。文字通り、プロダクト価値からブランド体験価値へと、発想を変えていく必要があることが分かります。


モノの価値を高める努力は当然のことながら重要です。しかし、プロダクト価値を高めることに加えて、さらに重要なのは、顧客視点で物事を捉えること。そしてあらゆる顧客接点で起こる「ブランド体験」の価値を意識した対策を練ることが必要不可欠なのです。ブランドの価値は、自分たちの努力・アイディア・工夫次第で、創造することができます。魅力となる強みが見つかれば、必ず成功に繋がります!


皆さん、あっと驚くような、共感を呼ぶ、魅力的なストーリーを組み立てて見ませんか!?
あまり難しく考えず、自分の魅力を探すように、会社の魅力を探すことで、きっと新たな発見があるはずです。


次回は、「アライアンス」をキーワードに、企業と個人との連携や、シェアという新たな概念をビジネスに組み入れたビジネスの可能性についてご紹介していきます。


専門家:山口 貴光
大手アパレル企業4社で、ブランドの新規立ち上げ、百貨店のフロアプロデュース、
リブランディングなど、主に変革型の事業を中心に、プロジェクトの責任者を歴任。
独立後、株式会社レバレッジラボ- 研究所を設立。
http://leveragelabo.com
マーケティング・ブランディングを基軸とした実践型のメソッドで、
戦略立案から実働支援・事業プロデュースなど、これまで数十件の支援実績を持つ。

「個人が活躍する時代」を支援するビジネス創発メディア
『Leverage-Share』を事業化
個人から大企業まで、その道のプロが集う「アライアンスネットワーク」を構築している。
http://leverage-share.com



ビジネスノマドジャーナル編集部
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