【クラウドファンディングで誰もがビジネスをできる時代に】第2回:クラウドファンディングの向き・不向き

知見・スキル
2017年03月03日

インターネットを利用した現代型クラウドファンディングの登場によって、個人でも多額の資金を調達できる可能性が広がりました。一方、クラウドファンディングは魔法の杖、打ち出の小槌と捉えるのは短絡的です。どのような手法で資金を調達するにせよ、その裏には資金の原資・提供者の存在があることを忘れてはいけません。
クラウドファンディングで資金調達を目指していく前に、一歩立ち止まって、なぜクラウドファンディングという手法を選択するのか、資金供給者の視点も考慮しているのかを改めて考えてみることも重要です。


クラウドファンディングの基本思想

クラウドファンディングの最大の特徴は、小口資金を大勢から集めるという点です。
たとえば、1億円の資金が必要なプロジェクトがあるとして、これを1人の力で工面するのは大変なことですが、1000人の賛同者がいれば1人あたりの負担額は10万円に抑えることができます。クラウドファンディングは、1人の力では難しいので賛同者・応援団を見つけようという思想から生まれたものとも言えるのです。


クラウドファンディングで資金調達を目指す際には、このクラウドファンディングの基本思想を十分に理解しておくことが重要です。資金を提供する側の気持ちになって考えると分かりやすいですが、この基本思想の裏を返すと、賛同することに利益を見いだせないもの、利益を度外視してでも応援しようとまで思わないものには資金は出す人はいないということなのです。


クラウドファンディングが向くケース(リターンに魅力があるもの)

クラウドファンディングの中には、金融型、購入型といった資金提供者へのリターンが設定されているものがあり、このリターンが資金を集める原動力となっています。提供者の立場で考えれば、単に「資金を出してくれ」よりも「目に見える形(商品や配当)で還元するから資金を出してくれ」の方が資金を出しやすいのは当然のことです。


前回のコラムで千葉県の流山線創業エピソードを紹介しましたが、これも街に鉄道が通る、鉄道が通れば出かけるのが楽になると、資金を提供する側の住民にとってリターンが明確で魅力があったからこそ成立したものと言えます。また、会社への出資という形で資金を集めていますので、経営が軌道に乗れば配当金として金銭的なリターンを得ることもできました。


購入型のクラウドファンディングは、さらに分かりやすく、資金を提供する側は店頭で商品を選ぶのと近い感覚で意思決定していきます。前払い式の取引と似た形での資金提供となりますので、その商品やサービスに価値を感じてもらえるか、店頭に並んでいたとして手にとってもらえるかが成功の鍵を握るようになります。


始めようとするビジネスが、多くの人が欲しがるものを作りあげていく、潜在的なニーズを満たしていくといったものであれば、金融型・購入型のクラウドファンディングは有効な資金調達手段となり得ます。


クラウドファンディングが向くケース(想いの受け皿となるもの)

明確なリターンがないものでも、多くの人の想いの受け皿となるようなものであればクラウドファンディングで資金を調達できる可能性があります。


広島カープの樽募金についても、カープを存続させたい・自分達で何ができるかという広島市民の想いの受け皿となったからこそ、当時としては多額の400万円の資金調達に成功したと言えます。


近年でも、財政破綻によって夕張市の事業として実施できなくなった「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」を市民有志が設立したNPO法人によって引き継がれたという事例もあります。これは、NPO法人が映画祭存続を希望する市民の想い(寄付)の受け皿となったということです。


公益性が強く行政サービスの隙間を埋めるソーシャルビジネス、もしくは文化事業のようにビジネスモデルに共感する人が多い場合は、寄付型のクラウドファンディングは有効な資金調達手段となり得ます。


クラウドファンディングが向かないケース

クラウドファンディングは打ち出の小槌ではなく、数ある資金調達手法のひとつに過ぎません。当然、クラウドファンディングには向かず、他の資金調達手法を選択した方が良いケースもあります。


まず、小資本から始められるビジネスは、そもそもクラウドファンディングを選択するメリットがありません。あまりに低額の募集の場合は、最低限の自己資本すら準備できておらず準備をする気もないと受け止められかねませんし、対外信用面で創業後の事業展開に悪影響を与えるおそれもあります。


また、クラウド(群衆)から資金を調達するのは、経営の関係者を増やすということでもあります。出資を募るような金融型の場合は多くの株主を抱えることで常に経営責任を問われますし、寄付型の場合も資金の使い道に厳しい目が向けられることには変わりありません。少人数で即断即決、自由に経営をしたい気持ちが強いのであれば、自己資金を貯めていく方が現実的です。


クラウドファンディングは、あくまでも手段であって目的ではありません。自己資金を貯める・特定の人や会社から出資を募る・金融機関から融資を受ける等、他の資金調達手法も検討のテーブルに載せた上でとるべき選択肢です。


記事制作/ミハルリサーチ 水野春市


ビジネスノマドジャーナル編集部
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