【これからの女性の働き方を考える】第9回:「好き」を続けることが自分らしい働き方への一番の近道 くらしの表現家・吉田麻理子さん(前編)

ノマドのキャリア
2017年01月10日

あなたは、"フリーランス"という働き方を検討したことがありますか?ライフイベントに左右されやすい女性にとっては、実はとても働きやすいスタイルです。
「フリーランスって、アナウンサーとかライターとか、特定の職業だけで可能なスタイルでしょ?」と思っている人もいるかもしれません。でも、実際は幅広い活躍の仕方があるんですよ。


これまで、子育てや介護と仕事の両立についてお話してきた本シリーズ。フリーランスとして自分らしく働くワーキングマザーへのインタビュー第二弾です。今回は、"くらしの表現家"として活動されている吉田麻理子さんにお話を伺いました。


育休を取ったことが、大好きな工作を再開するきっかけに

Q:フリーランスになったきっかけは何だったのでしょうか?

吉田さん(以下、吉田):

そもそも、工作家として活動を始めた経緯からお話しますね。
1人目の子どもの育児休暇中に、『ずっとやりたかったことを、やりなさい』という自己啓発本に出会ったのがきっかけです。「自分自身や周りの人を楽しませることしたい」と思い、週に一つ、子どものおもちゃや帽子などを作り始めたんです。作品をSNSやブログにアップしていたら、だんだんお仕事の話をいただくようになりました。こっちの道で仕事ができたらいいな、と考えていたのですが、踏ん切りがつかず、平日はサラリーマン・土日に工作、という生活を4年ほど続けました。
ですが、2人目出産後に復職したら、あまりに忙しくて、仕事と育児と工作の3つをやっていくのが厳しくなったんです。これを機にフリーになろう、と決めました。


Q:クリエイティブな方なんですね。本をきっかけに行動を変えたということは、モヤモヤしていたということですか?

吉田:

そうなんです、モヤモヤしていました。
もともと、小さい時から作ることが好きだったんです。3歳くらいの時に、近所の友達と野原に秘密基地を作って遊んだことが原体験ですね。


大学生までは、遊びとして工作していました。粘土遊びでおうちを作ったり、小学校6年生の夏休みの宿題でもののけ姫のジオラマを作ったり。中高の文化祭でお化け屋敷をするとか、体育祭で旗を作るとか。大学では、メディアデザインという分野を専攻していたのですが、プログラミングとデザインで「こういう道具があったらいいな」と思うものを作る、ということをやっていました。
就職先にリクルートを選んだのも、メディアテクノロジーラボという部署に興味をもったからなんです。


社会人になってからも、作りたい気持ちはずっと持っていたのですが、実際に作ることはしていませんでした。それまでは、夏休みの宿題のため、みんなで遊ぶため、課題、など目的があって自然に作っていました。ですが、目的がなくなってアイディアも湧かず、社会人になって2年半くらい、何も作らずに過ごしていました。育休に入り、思い切って再開した、という感じですね。


足の裏マグネット


Q:心の赴くままに作っていらっしゃるのかと思いきや、意外にも目的ありきなんですね。

吉田:

完全に目的ありきですね。大学の時に奥出直人先生に習った、デザイン思考にも影響を受けています。「○○がしたいから、××ができる△△を作る」という感じで、欲求に即してモノをつくる、という"ビジョンとコンセプト"という考え方を学びました。
この考え方を学ぶ前も、意識はしていなかったけれど、「文化祭を面白くするために、お化け屋敷を作る」というように、やはり目的があったんです。それが、学びを通じて言語化されていった感じですね。


毎日1つでも楽しいことをする。そうすると、人生が豊かになる

Q:フリーランスとして活動して1年経ち、現在どのように感じていらっしゃいますか?

吉田:

やっと軌道に乗ってきました。時間の使い方も収入も、バランスが取れてきましたね。
最初は、工作やコラム執筆の仕事だけをやっていて、フリーになった解放感で「一人で仕事できるってすごくいい!」と思っていました。でも、だんだん「ずっと一人でやっているのは辛い...」と感じるようになったんです。じゃあ人を集めて何かできることを、と思い、工作のワークショップを始めました。でも、テーマも来てくれる人も先細りになっていって。
そこで、来てくれた人の本当に好きなことを探り、楽しい生活を実現するお手伝いをするワークショップを始めたんです。"楽しい"の定義は人によって違うし、自分の"楽しい"を普段優先できていない人って意外と多いのでは?と感じたので。


描いて実現するワークショップ


ワークショップでは、"今楽しいこと"と"子どものころ楽しかったこと"を書き出したり、絵で描いたり、理想の一日をイメージしてみたりします。「普段はバリバリ働いているけど、家にいて子どもとのんびりしている時が楽しいんだ!」など、「気づいていなかったことに気づけた」と、言っていただけることが多いですね。それ以上に、「思いもよらなかったやりたいことに気づいた」と言われることもあります。「子育て支援をやりたいと思っていたけど、本当にやりたいのは料理だった」など、全然別のものが見える方もいらっしゃいますよ。正直、狙い以上の効果でした。


来ていただいた方が新たなワークショップを開いて、私がそこに遊びに行くこともあります。人を支援する目的で始めたワークショップですが、自分自身の世界も広がって、楽しいんです。
現在は、こうしたワークショップや個別カウンセリングを週1でやっています。ブログやfacebook経由で来て下さる方が多く、満員でキャンセル待ちが出る日もあります。


ちんあなご捕獲ゲーム


Q:社会生活を送る上で、楽しいことを優先するって、なかなか難しいですよね。どうやって実現していくのでしょうか?

吉田:

いきなり思い描いた理想の生活をすべて実現することは難しいので、一つだけ明日トライしてみる、ということをオススメしています。例えば、コーヒーが好きだから、豆から挽いて淹れてみるとします。そうすると、理想の一部が叶うんです。そこから楽しい一日の一歩が始まり、だんだん人生が豊かになっていくんですよね。


あとは、ワーキングマザーの皆さんにとって、保育園登園の時間って大変ですよね。いつも時間がなくて、急いで自転車で送るなど、イライラしがちかもしれません。でも、早起きして20分歩いて行ってみたら、「葉っぱがきれいだね」「ダンゴ虫がいるね」など、子どもと楽しい会話ができる時間になるかもしれない。
「少しでも楽しい時間があると、人生が変わる」と、私自身が実感しています。まずは楽しいと思える時間を作ることが大事。行動する、やってみることだと思います。


わんわんつめきり


Q:逆に、フリーランスになって、苦労したことはありますか?

吉田:

行き詰った時の相談相手が身近にいないことが、最初は苦しかったです。会社員時代なら、隣の席の先輩に「ランチお願いします」と声をかけて、壁打ち相手になってもらったりしていました。でもフリーランスになって、「一人でやってるんだから、解決策もすべて自分一人で考えなくては」と思い込んでいたんですね。


それで、最近ようやく、「困った時は、知見のある人に相談すればいいんだ!」と気づいたんです。当たり前なんですが(笑)ワークショップスペースのオーナーさんだったり、前職の同期だったり、いろんな人に相談してみると、「じゃあ今度打ち合わせしよう」「こんなことやってみない?」など、コラボレーションに繋がることもあるんです。
会社にいなくても、人に話してみればよかったんだ、と今更ながら気づかされました。


取材・記事作成/天田 有美


「くらしの表現家」吉田麻理子
1985年横浜生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。東京都小金井市在住。
株式会社リクルートライフスタイル在籍時の2012 年より工作家として活動を開始。
2015年、同社を退職しフリーランスに。
日々の暮らしの中で思ったこと・感じたことを、写真・文章・工作などを通し、
ブログや育児メディアで表現している。
「楽しく生きる」ことをテーマとした、ワークショップ・カウンセリングも人気。
活動家でありアーティスト。2児の母。
ブログ「ポッチリ村」http://pottiri12.tumblr.com


専門家:天田有美
慶應義塾大学文学部人間科学科卒業後、株式会社リクルート(現リクルートキャリア)へ入社。
一貫してHR事業に携わる。2012年、フリーランスへ転身。
キャリアコンサルタントとしてカウンセリングを行うほか、研修講師・面接官などを務める。
ライター、チアダンスインストラクターとしても活動中。



ビジネスノマドジャーナル編集部
専門家と1時間相談できるサービスX-bookを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。
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