【今さら聞けない】基本から学ぶM&A講座:第3回 想像以上に時間がかかるM&A

知見・スキル
2016年12月03日

思い立ったが吉日、とは言いますが、少なくともM&Aには当てはまらないかもしれません。


主な理由は2つあります。
①会社の売却時期によって売却価格が変わってしまうこと
②M&Aが成立するまでに時間がかかること


今回は②についての話になりますが、ここで質問。
みなさんはどのくらいの期間でM&Aができると思いますか?
一般的な商談では、1日で契約が成立することもありますが、M&Aではどんなに早くても1カ月はかかります。


売却を急ぐあまりに大切な会社を投げ売りしてしまうなんてことのないよう、事業承継などでM&Aを行う際には、十分な時間の余裕を持って、準備を進めるようにしましょう。


M&Aに要する期間とエネルギーは会社設立時以上?!

Q:M&Aが成立するまで、どのくらいの期間がかかるのでしょうか。

A:小さい案件で約1ヶ月、大きな案件であれば半年以上かかることもあります。


M&Aは、自社や買い手企業の社員、取引先など、多くの利害関係者が関わる一大事件です。社長がM&Aをする意思決定を行ってから、双方の社長同士が感動の握手をする前には、実に多くの作業が必要となります。


まずは、大まかなスケジュールを見ていきましょう。




これだけ見ても、かなりの作業があることがわかると思います。なお現実には、買い手の選定や事前調査に時間がかかったり、さまざまな問題に対応する必要が出てくるなど、想像以上の作業量となり、予定通りにM&Aが進むことはほとんどありません。


具体的な期間については案件の大きさにもよりますが、以下のようなイメージとなります。
・事前交渉 1週間~3週間
・各種DD 2週間~5週間
・交渉   2週間~4週間


※DD=Due DiligenceのことでM&Aにおける事前調査を意味します。ビジネスDD,法務DD,財務会計DDなどがメインですが環境DDなどもあります。(DDについては次回の講座で詳しく解説します)


クロージング後の統合作業については組織編成、役職・給与水準の調整、システム統合等々、半年から1年はかかります。非上場で、かつオーナー企業同士のM&Aであれば数週間で終わることもありますが、一般的には2~3ヶ月から半年はかかるものと思っていてください。


スムーズに成功させるためには、社員への情報開示のタイミングが重要

Q:M&Aの準備段階では、どんなことに気をつけるべきでしょうか。

A:情報の漏えいに注意を払う必要があります。
たとえば、自社が他社に買収される、という情報が流れた場合を考えてみましょう。まず、自社の社員に動揺が走ります。自分が解雇されたり左遷されたりするかもしれないという不安から反対運動を起こす社員も出てくるかもしれません。


次に、取引先と金融機関です。資金繰りが悪化しているのでは?といった憶測が流れたりすれば、取引にも悪影響が出てきてしまいます。


悪意があって情報を漏えいすることは少ないかと思いますが、電話やメールなどのやり取りから話に尾ひれがついて、噂が広まってしまうこともあります。
こうしたリスクを避けるために、M&Aの実行に当たっては少数精鋭のプロジェクトチームを組み、情報の取り扱いに注意することが必要です。また、M&Aが決まった際にはすべての関係者にしっかりとその趣旨を伝達し、余計な不安を感じさせないように努めましょう。こうすることで、M&A後の統合作業がスムーズになります。


専門家:江黒崇史
大学卒業後、公認会計士として大手監査法人において製造業、小売業、IT企業を中心に多くの会計監査に従事。
2005年にハードウェアベンチャー企業の最高財務責任者(CFO)として、資本政策、株式公開業務、決算業務、人事業務に従事するとともに、株式上場業務を担当。
2005年より中堅監査法人に参画し、情報・通信企業、不動産業、製造業、サービス業の会計監査に従事。またM&Aにおける買収調査や企業価値評価業務、TOBやMBOの助言業務も多く担当。
2014年7月より独立し江黒公認会計士事務所を設立。
会計コンサル、経営コンサル、IPOコンサル、M&Aアドバイザリー業務の遂行に努める。



ビジネスノマドジャーナル編集部
専門家と1時間相談できるサービスX-bookを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。
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