【地方創生・北海道】 安心・安全なまちづくりが最優先...札幌狸小路商店街(前編)

働く場所
2016年12月27日

昭和35年から営業を続ける「新倉屋」


首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのような事業展開を進めるべきなのか、北海道札幌市に住む筆者が北海道で「地方創生」に関わる施設を紹介していきます。


今回は、札幌の百貨店激戦区である札幌駅・大通駅周辺から少しすすきの(関東以北最大の繁華街として有名ですね)寄りにある、「横のデパート」こと札幌狸小路商店街の取り組みについて紹介しましょう。


同商店街は1869(明治2)年に明治政府が北海道開拓使を札幌に設置したころから商店・飲食店が立ち始めた地域で、1873(明治6)年から狸小路と呼ばれるようになりました。札幌市中央区南2条・3条の西1丁目から7丁目の小路7区画に渡り、アーケード街(約200店舗が軒を連ねる)が続いています。


その同商店街振興組合の常務理事であり、株式会社新倉屋(お団子やさんです)・代表取締役会長の斎藤嘉久さんに、同商店街の変遷について伺いました。


数年ぶりに狸小路にやって来た人は皆「変わった」という

Q:斎藤さんはいつから狸小路で商売をされているのですか?

「昭和35年からです。もう55年ですか......。狸小路は大きく変わりました。数年ぶりに狸小路に来た友人たちは皆『いやあ、変わっちゃったね』と言います。私が小樽(新倉屋は小樽発祥)から引っ越してきたときは、1・2階が店舗で3・4階が住居という形で、住み込みで商売をするのが普通だったのですが今では少数派です。私はその少数派のひとりです。


昭和30年代に完成した初代アーケード


なぜこのようなスタイルになったのかは、大きく二つ理由があります。まずは後継者不足。私の会社は息子に譲りましたが、多くの店舗で後継者が育たず、店舗の賃貸や売却を行った会社がたくさんあります。
あとは、チェーン店の進出です。実は狸小路の賃料はそんなに安くはありません。しかし、空きが出るとすぐに埋まってしまいます。それは、大通とすすきのの中間地点にあるという場所の良さと、アーケードがあるという環境の良さです。地下街から直結ですので、雨の日も雪の日も問題なく営業ができるというのは大きいと思います


Q:チェーン店の進出については寂しい部分もあるのでは?

「いやあ、ありますよ。私が狸小路に来てから一緒にやって来た仲間もどんどん減ってしまいましたから。でも、コンビニやアミューズメントパークが増えるのは時代の流れだと思うのです。その流れは受け入れないといけない......その流れに乗れなかった店舗はなくなっていくということなんです。
正直、80歳近い私が先頭を切って色々動くのもどうかとは思っているのですが、狸小路は商店街としてはさまざまな『最先端』を取り入れてきた歴史があるんです。その歴史を絶やすわけにはいきません


安心・安全な商店街を実現するための施策

Q:具体的にはどのような施策を行ってきたんですか?

「初代のアーケードは昭和37年に完成したのですが、私が担当しました。そのアーケードは、昭和57年にリニューアルし今も現役です。というのも、しっかりメンテナンスをしているから長持ちしているんです。このメンテナンスがあるからこそ、安心・安全な商店街が実現して、今も多くの方に愛される商店街になっていると思います。
このようなことができるのは、各店舗だけの力では無理です。そのため、狸小路では振興組合の事務局をしっかり稼働させることで、狸小路全体の活性化を図ってきました。


平成14年にはアーケードの裏側に光ファイバーを設置して、丁目ごとにディスプレイを設置して広告が掲載できるようになりました。(ここでスマホを取り出す)これを見てください、実はskypeでつながっているので、この電話を使って全丁目にアナウンスを流すこともできるんですよ。防犯カメラも28台設置してリアルタイムで確認できますし、いち早くITを駆使した商店街となっています


各丁目にあるディスプレイもアーケードの特徴


Q:事務局が各店舗を束ねることが重要なんですね。

「うるさいと思っている経営者も多いでしょうけど(笑)、伝えるべきことは伝えないといけないと思っています。あと、自主巡回組織があるのも特徴ですね。昼だけでなく夜も商店街を巡回して、変わったことがないかどうかを確認しています。狸小路は昔ながらの面影も残しているので『古い』というイメージを持つ方もいますが、安心・安全のためにいろいろな活動をして最先端の設備も導入しているんですよ


(後編へ続く)


取材・撮影/橋場了吾(株式会社アールアンドアール)


小磯修二
1948(昭和23)年、大阪市生まれ。北海道開発庁(現国土交通省)を経て、
1999(平成11)年に釧路公立大学教授、2008(平成20)年に同学長に。
2012(平成24)年から北海道大学公共政策大学院特任教授。専門は地域開発政策、地域経済。

【専門家】橋場 了吾
同志社大学法学部政治学科卒業後、札幌テレビ放送株式会社へ入社。
STVラジオのディレクターを経て株式会社アールアンドアールを創立、SAPPORO MUSIC NAKED(現 REAL MUSIC NAKED)を開設。
現在までに500組以上のミュージシャンにインタビューを実施。
北海道観光マスター資格保持者、ニュース・観光サイトやコンテンツマーケティングのライティングも行う。

ビジネスノマドジャーナル編集部
専門家と1時間相談できるサービスX-bookを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。
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