【Ex-CTO meetup vol.3】エンジニアの評価はどうあるべきか?どう育成していくべきか? (中編)

対談
2016年12月20日

株式会社サーキュレーションのエンジニア向けサービス「flexy」関連のイベントとして、11月11日に開催された、第3回「Ex-CTO meetup」。エンジニアの評価はどうあるべきか?どう育成していくべきか?について、試行錯誤を重ねてきたCTOの方々に、エピソードを交えて語っていただきました。


《パネラー》

貝畑 政徳(かいはた まさのり)氏

株式会社カヤック代表取締役CTO兼ゲーム事業部長

白井 英(しらい すぐる)氏

株式会社サイバーエージェントSGE事業部最高技術責任者

川崎 禎紀(かわさき よしのり)氏

ウォンテッドリー株式会社取締役CTO


《モデレータ》

稲荷 幹夫(いなり みきお)氏

株式会社レコチョク執行役員兼CTO


360度評価も相対評価も万能ではない。欠点を補完する仕組みが必要

稲荷:

次は、現制度についての課題とか、実際失敗しました、みたいなことがあれば、経験談として話していただければと思っています。
まず、評価制度は大きく2つに分かれると思っていて、360度評価とそれ以外ですね。レコチョクの場合は、360度評価とMBOをミックスしたものなんです。
そこで僕たちの課題は何かというと、目標設定をする時の記述レベルがすごく曖昧なんですね。上長自体も均質化できてないというところがあるし、その下においてはもっとばらけちゃう、いうところがあるんです。


それで今は何をやってるかって言うと、実は目標設定の書き方とか、あと部下に対する期待度の伝え方とか、どっちかというと制度よりも中身に入っていって、公平化というか均質化していくための教育を回していて。制度自体はあまり変えるべきもんじゃない、と思っています。
360度評価の貝畑さんは、何か苦労されていることってありますか。


貝畑:

カヤックでは、「全員に個人の目標を立てなさい」っていうことは、やらなくなりました。一応そういう目標を入れるシートがあるんですけど。360度評価が半年に1回やってくるタイミングで、多分その時の自分の目標はこうだったなって振り返っていってる社員が多いと思います。もちろん目標設定した方がいい社員も多いのですが、目標がなくても頑張れるという社員もいて、そこはどちらでもよい、というのが現在のスタンスです。


いまは、自分の成長より他人の成長にコミットしなさいっていう意味で360度フィードバックをやってるので、他の社員にフィードバックコメントをいれるのに数時間かけたりしてますね。
ものすごく辛辣なこと書かれたりするんですよ。悪口ではなくて、こういうところ直してほしいとか、ここ直したらもっとよくなるっていう意味で書いてもらってるんですけど、上から言われる分にはまあ何かそんなもんだなと思えても、やっぱり下からの突き上げみたいなものは半端なくて。


新入社員も、僕ら代表取締役もその360度フィードバックをされるので、ものすごく傷つくことを書かれたりすると結構へこむんですけど、そういうことにいちいちへこまなくていいように、サイコロによって給料がちょっと増える「サイコロ給」というものがあるんです。人間の評価なんて曖昧なものだから、評価と関連する給料にも、サイコロを振ってゆらぎを持たせているという。人に任せて評価される部分があってもいいと思うし、いちいち評価され傷つくよりは、自分が面白いかどうかっていうのを、一番大事な評価にしてくださいって思ってます。


稲荷:

360 度評価についてはわかるといえばわかるし、欠点もある。相対評価というか順番に並べるというのは僕もやったことがあって、トップ10パーセントを昇給させたこともあります。
では白井さん、何か苦労話とか。ここが課題だなっていうのはありますか。


白井:

みなさんのお話の通りで、たとえば弊社だと、半期に1回、目標宣言してもらうのですが、定期的に最初に立てた目標とその進捗と、そもそもそれって会社の方向性と一緒なんだっけという擦り合わせをしています。


それを少しでも疎かにすると、半年後に、こんなはずじゃなかったということになりかねないので。あとは、この業界だと非常に移り変わりが激しいので、半年前に立てた目標が割と1カ月後とかで、全然違う方向になったりもするんです。そういう意味でも、どういうふうに成長していくとか、どこにコミットするのかみたいなことは定期的に話すことが大切だと思いますね。


5人チームで、きめ細やかなフォローと評価が可能に

稲荷:

川崎さんのほうで何か苦労があれば。改定したばっかりですし。


川崎:

ここにたどり着くまでにかなり苦労してきてまして。一時期、ものすごく大勢を見ている人がいて、10数人見てる状態だったのですが、1on1ミーティングの間隔がどんどん空いていってしまうんです。そうなると、みんな何を頑張っているのかよくわからなくなり、評価もしづらくなっていくし、本人のモチベーションも下がったり、下がってる時に気づけなかったりとか。フォローもちゃんとできなくなるんですね。それで今は、最大5人にしてキャパあけとくみたいな感じにしています。


ちょっと苦労話とは変わっちゃうんですけど、360度評価みたいなのも一応入れていて、書いてはもらうんです。でも結局、ビジビリティの高い人に評価が集まっちゃうんですよね。
たとえば、デザイナーが大勢の人と働いていて、誰から見てもシンプルなものを作れているから、常に上位を占めている。とか、カスタマーサポートの人と一緒に働いてるエンジニアは一緒に働いてる人数が圧倒的に多いので、ユーザーファーストという評価がすごい集まりやすいみたいな。組織とかビジネスの形態によって全然違うんだと思うんですけど、我々の場合はポジションによって大きく異なってしまうので、それを直接評価に入れてしまうことはしないんです。


そのかわり、前回と比べて上がったのか下がったのかみたいなところは、割と指標になる。たとえば、新しくその人に票が集まれば、その人は何かしら大きな成長をしたんじゃないかみたいなシグナルになるので、リーダーないし会社の役員が気づけないことを回りから気づかせてもらえるっていう、補助的な仕組みとして1年半前からやるようになりました。


稲荷:

みなさん、社長賞やサンクス賞など、何か選ぶ時は投票制になっているんですね。そこを評価にするか、参考情報にするかっていう違いはあるものの、大体似たようなとこに落ち着いてるんじゃないかというふうには思います。


僕からの質問なのですが、川崎さん。僕も6人1チームを目指してるんですけれど、1週間とか、クオーターで1on1を回すための仕掛けとか、忙しくなる上長に対して気をつけてることとか、何かウォッチしてるような仕組みとか、ありますか。


川崎:

個人的になんですけど、1on1は朝一番に入れるようにしています。朝は予定が押してずれるとかもないし、頭も疲れてないので脳みそが働くのかなあと。なので、朝一番にやるのがベストかなと思ってやっています。


稲荷:

白井さんはどうでしょう。


白井:

今は子会社の現場に任せているんですけど、自分がやっていた時には1日3人までしか面談しないと決めていましたね。面談を通してコミュニケーションをとることも大切なので、いかに自分のパフォーマンスを維持しながら面談時間を設けるかということに気をつけていました。


稲荷:

評価制度は実際に中身をどう運用するかってものすごく気をつけないといけなくて、特にIT業っていうのは目標がもうゴロゴロ変わります。なので、そこを修正するサイクルというのは評価制度とは違うところで入れないといけなくて、かつ、それをちゃんと上長の下で握れるかどうかっていうことをきちんとやっていかなきゃいけないんですね。

(後編へ続く)


CTO/Ex-CTO向けサービス「flexy

記事作成:村上 亮太・宮本 雪
撮影/高瀬 亜希


ビジネスノマドジャーナル編集部
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