【Ex-CTO meetup vol.3】エンジニアの評価はどうあるべきか?どう育成していくべきか? (前編)

対談
2016年12月19日

株式会社サーキュレーションのエンジニア向けサービス「flexy」関連のイベントとして、11月11日に開催された、第3回「Ex-CTO meetup」。エンジニアの評価はどうあるべきか?どう育成していくべきか?について、試行錯誤を重ねてきたCTOの方々に、エピソードを交えて語っていただきました。


《パネラー》

貝畑 政徳(かいはた まさのり)氏

株式会社カヤック代表取締役CTO兼ゲーム事業部長

白井 英(しらい すぐる)氏

株式会社サイバーエージェントSGE事業部最高技術責任者

川崎 禎紀(かわさき よしのり)氏

ウォンテッドリー株式会社取締役CTO


《モデレータ》

稲荷 幹夫(いなり みきお)氏

株式会社レコチョク執行役員兼CTO


MBOプラス自己申告制度。下からの180度評価を実施

稲荷幹夫氏(以下、稲荷):

本日のテーマは、評価と育成についてです。私自身、レコチョクとサイバードでCTOを経験しましたが、組織の規模や成長度で評価制度は変わるものだと思っていますし、エンジニアそれぞれがやりたいことや目標によって、育成や評価制度も違う物差しをもってこないといけないと思います。


つまり、評価制度には答えはないということです。なので、この場でひとつの答えを出すというよりは、本日集まっていただいた規模の違う4社の考え方や事例をお聞き頂き、最終的には、自分や自社の中で考えてもらって、そこから編み出していただけるといいのかな、と考えています。それではまずは、私からお話させていただきます。


現時点の社員数は約150名で、派遣社員などを入れると300名近くいます。その内、エンジニア数が85名。システム自体がとても大きなシステムになっているので、稼働システム別に担当を置かないといけない。そのためプロジェクト的に動かすことができず、職制に近いような形になっています。現状では、プログラマーがやりたいことをやらせてあげられなくなってしまう環境になってしまっていると思います。また、評価制度も個々人に合わせてというわけにはいかないですし、不満が根付いてるところがありますね。


評価制度自体は、MBO(目標管理)で業績連動させる形で今まで回してきました。ところが、組織が大きくなると、このやり方では限界があって。保有スキルを評価するために、若干のチューニングをしています。加えて、グループ長だとか管理職レベルは180度評価、いわゆる上からの評価というのはストレートに一本、組織評価でいいんですけれども、下からの評価をどういうふうに加味していくかっていうことで、今は下側からの180度評価を入れています。


ちなみに評価については、基本的にはチーム長が実施します。ただ、こうするとどうしてもチーム差が出てしまう。評価の最終決定では公平性を持ちたいので、部長と経営陣で多少の味付けをします。これを半期ごとに行って年俸の改定をしています。
定性、定量面の評価では、MBOによって半期で目標設定をクリアしたかしないかを基本的には重視しています。定性面では、3年後のキャリアマスターみたいな本人の成長を考えた上で、月の成長目標を設定させていますね。


そのほかの特徴でいうと、自己申告制度というものがあるんです。現場から社長宛にストレートに不満とか、上司のこの辺がダメだみたいなことを言える制度で、もちろん僕自身も評価されているんです。こういう意味では、現場と経営陣、社長との距離の近さがあるのかな、と思います。
あとは、海外カンファレンスの参加もやっていますね。ハッカソンや勉強会も労働時間に入れて、勉強会では積極的にプレゼンの機会を設けています。


ということでひと通り話しましたので、次はカヤックさんにバトンタッチします。


社員全員が人事部。面白く働けているか?を重要視

貝畑 政徳さん(以下、貝畑):

カヤックは今、社員数が大体250名くらいで、半分がエンジニアです。基本的には事業部に属しているのですが、一部の人間はプロジェクトや、事業部を掛け持ちしている人もいるような状態になっていますね。


ちょっと特徴的なのが、社員全員が人事部に所属しているんです。たとえば、自分が気に入った人にファストパスというカードを渡すと書類の選考はパスできたりとか、ラストパスというカードもあって、それを渡すといきなり役員面接してもらえるんです。社員紹介を増やすとしても、具体的にどうしたらいいかわからない、という人が多かったので取り入れました。社員発案の制度です。社員全員がカヤックの成長にコミットするという意味で、そういった仕組みを行っています。


評価制度ですが、まず、どのように社員の給料を決めているのかを説明します。「あなたが社長だったら給料を高く上げたい順番に並べてください」という質問でメンバーを並び替える『月給ランキング』という仕組みがあります。自分と日々一緒に働いている人たち同士で、相互投票をしてその結果を基に月給を決めます。求めるスキルも変わり続けるので、細かい基準は設定していません。会社へのコミット率の高い人が上に行ったり、逆に、特にコミットしなくても、技術力が半端ないみたいな話だとS評価を付けたりと、上下関係は抜きにしてランク付けしていくんです。その基準は社員それぞれで良くて、ただ社員の投票結果の合計が一番正しいはずだという前提にたっています。


次に、給料とは関係なく「自分の成長」のための360度フィードバック制度があります。自分で自分のことを振り返る設問と、他者からフィードバックをもらえる質問があります。この質問が結構重要ですね。特に、面白法人と名乗っているので、「面白く働けてるか」っていうのが一番大事で10段階評価で聞いています。他にも、「失敗したことをあげてください」という質問があります。失敗をしていないということは、チャレンジしていないということと同義と考えているためです。いろいろあるんですけど、設問項目がダイレクトに会社の価値観そのものになっています。


育成制度で特徴的なのは、全員社長合宿っていうのを年に2回やってます。毎回、自分が社長になったつもりで会社のことについて考えてくださいというお題で、新規サービスや楽しく働くための制度を考えてくださいとか、経営理念を見直してくださいっていうのがあるんです。カヤックをどういう会社にしたいかっていうのを改めて考えさせることで、カヤックへのコミットがあがっていくこともあるし、実際そこから生まれたサービスや制度もたくさんあるんですよ。


稲荷:

面白く働けているかっていうのは重要ですよね。でも実際に聞くのは勇気がいります笑。
では続きまして白井さん。お願いします。


これまでもこれからもベンチャー企業。自分の宣言したことにコミットする

白井 英さん(以下、白井):

私が所属している、サイバーエージェントSGE(Smartphone Games & Entertainment)事業部は、ゲーム事業に携わる子会社11社が所属していて、合わせて社員750名くらいの規模感になります。
エンジニアは基本的にはプロジェクトごとに配置されるので、プロジェクトにコミットする体制になっています。


評価制度の話をさせてもらう前に、サイバーエージェントのことを少し話すと、規模は大きくなっていますが、自分たちはベンチャー企業であると、常にそう思ってやっています。そのため、評価制度についても、基本的には本人たちに成果と技術面に関して自分のやりたいことを宣言してもらい、宣言したことに対してどれくらいコミットしたかという指標で評価をしています。
もちろん一人で働いているわけではないので、基本的にはチームや会社としての目標に対してどれだけ、どういうコミットをあなたはできますか、というのを半期ごとに宣言してもらっています。


また、人を目立たせるということにも力をいれており、特に表彰には力をいれています。半年に1回あるサイバーエージェント全体のグループ総会で、活躍したエンジニアを表彰したり、子会社ごとや事業部ごとでも表彰したりしています。


育成に関しては、SGEでは、半期ごとに「あした会議」といって新規事業や課題を解決するためにみんなでアイディアを出して、決議する1泊2日の合宿を実施しているのですが、そこに若手エンジニアを参加させています。全体で研修するなどももちろんあるのですが、本当に自分たちに必要なことを自分たちで考え宣言して、半年かけて責任をもって実行するという、提案から実行までをワンセットで任せていく中で、人が育ってきたと感じているので、育成にはかなり効いていると思っています。


稲荷:

ありがとうございます。では最後に、川崎さんお願いします。


変化のスピードに合わせて、目標を柔軟に変化させる

川崎 禎紀さん(以下、川崎):

まず従業員数は、海外も含めて100人を超えるぐらいです。エンジニアのインターンも大勢います。で、だいたい半分ぐらいがエンジニア、ないしはデザイナー。組織の形はプロダクト別にチームを作っていて、基本的にはエンジニアがプロダクトオーナーを兼任しています。マーケティングをやるのであればそれも含めてエンジニアが責任を持っていく体制でやっています。


評価の話に移る前に、その一つ手前で一番大切なことがあって、それがモチベーションだと思うんです。ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0」という本に書いてあるのですが、クリエイティブなことを仕事としていく人達にとって何より重要なのは、内発的動機づけといって、自分としてその仕事に対して意義を感じているかだとか、自律的に働けるかどうかとか、成長を実感できるかどうか、みたいなところが必要なんです。それで、モチベーションを出している人はパフォーマンスが高い。こういう社会科学的な研究の知見を、できる限り取り入れていこうという思想でやっています。


なので、一人ひとりが自律的に働き、自分の担当しているプロダクトに責任を持って意思決定できるようにしていく。そうすると、失敗したら失敗したなりにものすごく学びがある。誰かにやれって言われてそれをやって失敗すると何も学べないですしね。他の人がやれって言ったからやったんです、みたいな感じじゃなくって、自分で意思決定を繰り返していくので、その分成長を実感していくというような形を大切にしています。
その上で、エクスペクテーション制度というのをやっていて、基本的に自分のマネージャーの期待に応えたのか応えなかったのかっていう一点に集約させるっていう評価を今やっています。


目標を立てることも重要なんですけど、我々みたいな会社だと、会社の環境だったりプロダクトや他の会社の状況に合わせて、フォーカスしなきゃいけない領域っていうのは刻一刻と変わってきます。
なので、例えば半期の頭に目標をたてたとして、その半期の間それしかやらないです、みたいになっていると、やっぱり会社として変化していく速度がすごく遅くなって、競争力が下がると思っているんですよね。なので、そこを柔軟に変えていけるようにするために、エクスペクテーション制度をやっています。


具体的には、週に1回1on1ミーティングをやっています。そうすると、自分ではものすごく良い成果が出たと思っていたのに上司がやってほしいこととは全然違うことをしていたとか、逆に全然ダメだと思っていたのに、すごくいいねみたいな評価を受けてなんだか謎みたいになってしまうことが起こりにくくなってくると思うんです。
それで最終的に、役員による全社員レビューを毎月やっていて、各マネージャーから個別でフィードバック、さらにQ(クオーター)毎で、給与査定と、半期に一度グレード評価をやっています。


育成でユニークなのは、インターンをかなり積極的にみんなとっていいよっていうふうに言っていて。やっぱり自分が弟子みたいなものを作ると、教えることによって一番その本人が学ぶみたいなところも強いのかな、と思うんです。自分自身の成長にもつながるし、かつ、ちゃんと育成すれば自分がやっているプロダクトも、より高速に進んでいく、いい成果が出ていくっていうふうにそこを重視してやっています。


稲荷:

ありがとうございます。ということで、まずは評価・育成について各社の概要をお話いただきました。

(中編へ続く)


CTO/Ex-CTO向けサービス「flexy

記事作成:村上 亮太・宮本 雪
撮影/高瀬 亜希


ビジネスノマドジャーナル編集部
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