【ノマドになるために】独立に向いている資格 その1:社労士/中小企業診断士/行政書士

働く人
2016年01月26日

独立に向いている資格

社会保険労務士/中小企業診断士/行政書士

自由な働き方を模索する中で、独立は一つの選択肢として浮上する。その際、心の支えとなるのは特定分野での権限や認定の証である「資格」を取得することだろう。数あるビジネス系プロフェッショナル資格の中から、独立志向のビジネスパーソンが取得を視野に入れるといい資格を紹介する。今回は「社会保険労務士」「中小企業診断士」「行政書士」を取り上げ、その仕事内容と取得後のキャリアイメージに迫る。



「社会保険労務士」――労働・社会保険手続きや人事労務管理などを行う

健康保険や年金なども扱う

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LEC専任講師 特定社会保険労務士 澤井清治氏(澤井国際事務所)

厚生労働省管轄の国家資格で、社会保険・労働保険・労務管理を3つの柱として扱う士業。身近なところでは、健康保険と年金も社会保険労務士が扱う分野である。

特定社会保険労務士でLEC専任講師の澤井清治氏(澤井国際事務所)に話を聞いた。試験は年1回、8月第4日曜日に行なわれる。午前が選択式、午後が択一式の試験で、それぞれ総得点と基準点を満たす必要がある。「近年は65%程度の正答率が合格ラインです」と澤井氏はいう。科目は労働基準法をはじめ健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法など多岐にわたる。

学習の手段は、これはどの資格も共通であるが、独学、通信、通学の3つが基本だ。


開業でなくても勤務社労士の道もある

社会保険労務士の業務とは、いわば人が生まれてから亡くなるまで、人生のすべてに関わるもの。例えば生まれた時の出産育児一時金の支給。20歳になり成人したら国民年金への加入。就職すれば雇用保険や社会保険に加入する。結婚したら扶養家族が増え、老後は年金の支給を受ける。これらの手続きを行なうのが社会保険労務士の社会的な役割だ。

資格を取得した後は、勤務社労士と開業社労士に分かれる。勤務社労士は特定企業に雇用されながら、企業内で手続きを行なう。安定収入型の勤務形態で、企業には欠かせない人事部、総務部などの部署に求められる人材となる。資格を取得していると、転職活動や就職活動が有利に働くことがあるだろう。

企業や社会保険労務士事務所で働きながら手続きの実務経験を学び、独立に向かう人もいる。独立後は開業社労士になる。資格を取得してからすぐに独立開業をする人もいる。社会保険労務士は、例えば自宅でも開業ができるので、女性であれば主婦業や子育てとの両立がしやすいと言われている。

近年では、労働関係紛争の解決手続き代理業務も社会保険労務士が扱う分野である。残業代の不払いや給与の不支給、有給休暇の未取得などの労働トラブル(個別労働紛争)を扱うことができる「特定社会保険労務士」の役割が増大している傾向がある。

資格を取得後に独立したとしても、すぐに収入が増えるとは一概には言えず、その額は人による。個人で開業をする場合と、社会保険労務士の事務所を開き経営に携わる場合とで収入は異なるだろう。一般的には、仕事が軌道に乗っている個人開業の社会保険労務士の場合では、年収700万円から800万円が多いと言われる。長く続けて、社会保険労務士の組織として成長すると売上3000万円超を狙うこともできそうだ。



「中小企業診断士」――中小企業へのコンサル能力を認定する資格

ノマド志向の人にはベストマッチ

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LEC専任講師 中小企業診断士 金城順之介氏(金城順之介事務所代表)

中小企業診断士は、中小企業へのコンサルティング能力を認定する資格だ。経済学や財務会計、企業経営理論や運営管理、経営法務、経営情報システムなど学習の分野は幅広い。

LEC専任講師の中小企業診断士、金城順之介氏(金城順之介事務所代表)は「診断能力について国から認定を受ける資格です。企業診断は独占業務ではないため、同業者間の過当競争に陥ることが少ないと言えます。診断の範囲が広い分、つぶしが効く資格とも言えるでしょう。このように変化が激しい時代、例えばノマドを目指すような方にはベストマッチすると考えています」と太鼓判を押す。


現行独立するのは2割程度? 7割がダブルライセンス

資格の取得を目指す人は、企業内で管理職になる、または独立開業をするなど、さまざまな目的を持っている。共通するのは「経営学」を身に付けたい人であるということだ。

そこでMBAと中小企業診断士の選択肢があるのだが、専門分野を深く学ぶMBAに対して、中小企業診断士は幅広い領域の学習が特徴である。

資格を取得した後は、勤める企業内で経営企画への参画など社内でのキャリアアップを目指す人が多く、その割合は8割程と言われる。財務、法律、人事管理、マーケティングなどの幅広い知識と論理的な思考力を持ち合わせるため、企業に求められやすい人材となる。

2割ほどが独立し、例えば金融企業出身ならば資金調達のコンサルティング、元SEならばITコンサルティング、製造業ならば現場改善コンサルティングなど、それまでの強みを活かした経営コンサルタントになる人が多いそう。もう一つの働き方として、特に50代、60代の取得者に多い傾向として、公的機関に勤務するというキャリアの転換を行なう人もいる。

公表された資料によれば、中小企業診断士の約7割がダブルライセンス(他に資格を保有)で活躍していることが分かる。例えば中小企業診断士と合わせて、社会保険労務士、情報処理技術者、不動産鑑定士の資格を取得する人が多い。公認会計士、司法書士、弁護士の資格を取得する人もいる。

前出の金城氏も「独立開業している中小企業診断士の収入は、その業界によるところもあるでしょう。5年後、10年後に何をしていたいのか。そのための投資期間も必要です。だからこそ、独立は若いうちがよいと思います。中小企業診断士の資格取得が、独立の後押しになればいいですね」と語る。

日本経済新聞社と日経HRが共同で、ビジネスパーソンを対象に行った「新たに取得したい資格」(語学検定含む)の調査で、前年の6位から順位を上げて首位になったのがまさに中小企業診断士だった(2016年1月12日付、日経朝刊)。

資格は取って満足するのではなく、専門性を高める努力を続ける必要がある。特に中小企業診断士はダブルライセンスの人が7割いることからも分かるように、資格者はこの資格を取得してからも自らを高める努力を続けている。



「行政書士」――役所と国民をつなぐ存在、守備範囲は広い

取得までの学習期間は2-3年

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LEC専任講師 行政書士 黒沢怜央氏(株式会社ジーネット代表取締役)

LEC専任講師の行政書士、黒沢怜央氏(株式会社ジーネット代表取締役)は行政書士の特性について「行政書士は、役所と国民の媒介となる存在の資格です。例えば裁判所は弁護士、特許庁は弁理士の管轄。しかしそのような独占業務のない役所が沢山あります。行政書士はそれら全般を担当できます。さまざまな専門家がいる集団といったところでしょうか」と語る。

実務の守備範囲は広く、また身近なものである。相続の手続きや遺言状の作成も行政書士が行なうことができる。他には、例えば外国人の知り合いが多ければビザ関係の仕事が増えることがあるだろう。陸運局での手続きや、飲食店の営業許可を専門にする行政書士もいる。

取得後は企業に就職、または勤めている会社でのキャリアアップを目指す人が多い。もちろん取得後に開業する人もいる。


億円単位の売上をめざすところも

「資格取得後の開業登録は20~25%程度ではないでしょうか。成功すれば売上3000万円以上ということもあり、その上の億を目指す人もいます。個人では1500万円ほどの収入を得る人もいます」というから驚きだ。

開業を成功させるために一番重要になるのは「法律を使いこなす技術」。行政書士は法律家なので、法律の知識や、法律を使って問題を解決するための技術が欠かせない。そして法律知識・ノウハウという「商品」を作るだけではなく、それを販売するための「営業スキル」も必要になってくる。

独立開業については、権限を活かして、社会でどのような方の手伝いをしたいのか。または企業のサポートをしたいのかを考えるべきだろう。「その先に『商品』が見えてくるのではないでしょうか」と黒沢氏も話す。

例えば相続手続きや遺言書の作成を分かりやすく説明して手続きしたり、起業時の支援を行なったりすることは、企業や個人事務所の社会的な成功をサポートする業務になるはずだ。それらの積み重ねにより、行政書士としての年収もアップが期待できるのではないだろうか。

黒沢氏はさらに「私は独立開業の厳しさも知っていますので、けっして安易なお勧めはしませんが、個人としてバリバリと仕事をするのか、経営者として人を扱いながら組織を大きくするのかで、収入は違ってくるのではないでしょうか」と話す。

資格取得を目指すのであれば、目の前の未来だけでなく、長期にわたる将来のキャリアイメージをしっかり持って、何を取るのか、どう取るのかを考えるべきだろう。どういう道をを選ぶにせよ、今や「この資格を取れば安心」というものはないと考えたほうがいい。これまでに自分が培ってきた経験や、すでに取得している資格との親和性はもとより、これからの自分のキャリアの変化、社会の動きを見据えたうえで、資格取得については考えたいものだ。


ビジネスノマドジャーナル編集部
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